聚楽内科クリニック

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第6回聚楽内科クリニック院長先生の健康講座「動脈硬化とその予防」~今日から始める心臓病・脳卒中予防~

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日時:2018(平成30)年6月23日土曜日 10:30~11:30、

特別養護老人ホーム風の木苑 1階 地域交流ホールにて健康講座を開催しました。

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1.はじめに

 

最近テレビの医療情報番組などでよく見かけるのが、動脈硬化とそれに関連する病気(主に血流低下による)についての情報です。

高血圧、高脂血症、糖尿病など全身疾患とともに進行し、また喫煙や肥満、運動不足など生活習慣とも深い関わりがあります。

聚楽内科クリニックでは、利用者の方々の「未病・予防」を第一に、身体の検査・早期治療をおこなってまいりました。

未病とは、病気ではないが健康でもない状態、すなわち病気を発症する前の段階です。

進み続ける超高齢化社会において主要な死因として、心臓病(第2位)と脳卒中(第4位)は動脈硬化と関係しており、これら人数の合計は癌(第1位)と同じ数になります。

また男性で介護が必要になる原因の第1位は脳卒中です。

このように健康寿命を延ばすために動脈硬化を予防し、あるいは動脈硬化になっている人がいつまでも自立した生活を送ることができるよう未病に取り組むことは、これからの皆さまのご家族のためにも、そして日本社会のためにもとても意味のあることです。

 

 

 

2.動脈硬化とは

 

動脈は、ゴムホースのような均一な物質でできている単なる管とは異なり、一個一個の細胞が結合して層をなしています。

通常はそれらの細胞が心臓から拍出される血液、すなわち血圧の変化により伸びたり縮んだりしています。

しかしながら高脂血症や糖尿病のような全身疾患では血液中に増加した脂質(中性脂肪やLDLコレステロール)や糖、あるいは喫煙などにより血中に入った化学物質が、細胞間隙(さいぼうかんげき)すなわち細胞と細胞の間から血管の外側の層へと入り込んでいきます。

そしてこれらの物質を排除しようと白血球が集まり、免疫反応が起こり、血管壁の肥厚と血管内腔の狭窄が進みます。

このようにして血管はより硬く、より詰まりやすく、あるいはより破れやすくなっていきます。

 

 

 

3.動脈硬化の検査

 

動脈硬化の原因として、高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満、喫煙を挙げることができます。

喫煙を除く4つの病気を合わせたものはメタボリック症候群ですから、動脈硬化の原因は生活習慣病とも言えます。

そこで生活習慣、食生活や日々の運動量に問題がある中高年の方には、動脈硬化のリスクがあると考え、血圧測定、血液・尿検査に加えて、血圧脈波測定と頚動脈エコーをお勧めしています。

 

血圧脈波測定では、ベッド上で両腕と両足にマンシェットを巻き、上肢と下肢の血圧および脈波伝達速度を測定します。

実際の検査は5分少しで終了しますので、お気軽に受診していただきたいと思います。

これらの測定値から、血管内腔の狭窄の有無や動脈の硬さがわかり、さらには血管年齢、10年以内に心臓病や脳血管障害を起こす確率、そして心機能が評価されます(写真1)。

特にわかりやすいのが血管年齢で、当クリニックでフォローしている患者のほとんどの方が治療により生活習慣が改善され、血管年齢が若返っていきます。

ただし喫煙者はやっかいです。喫煙により発がん物質を含む2,000種類以上の化学物質を体内に取り込むことになります。

このため動脈硬化が進み、血管年齢は実年齢よりも20歳以上高くなってしまいます。

何とか禁煙していただければ、10年後には脳血管疾患や心臓病のリスクは非喫煙者並みに低下するといわれているのですが。

 

写真1 血圧脈波測定結果

 

 

 

頚動脈エコーでは、血管内に付着しているプラーク、石灰化などを検出し、血管内の血流をみて狭窄率を計算します。

さらには熊本ではめずらしい特殊なプローブを用いて観察し、患者の血管内の実際の状態を4D画像化することもできます(写真2)。

 

写真2 血管エコー画像(4D解析)の一部

 

 

 

4.動脈硬化の予防法

 

生活習慣を正して健康な身体を維持するために必要なのが、食事と運動です。

 

食事の基本はカロリー計算から始めます。私が医師になりたての頃、講師をしておりました糖尿病教室の知識です。

適正エネルギー(kcal)=適正体重×生活強度=(身長-100)×0.9×30という計算式から、身長150cmの場合、1350 kcalとなります。

そして最近、炭水化物を摂らない人が増えているようですが、これは間違いです。

炭水化物は1日必要な適正エネルギーの半分程度を占めるようにしなければなりません。

炭水化物は大切なエネルギー源であり、人間の営みをつかさどる脳はその分解産物である糖と酸素で生きています。

その他、タンパクは適正エネルギーの20%、脂肪は30%に設定しましょう。

タンパクは筋肉を保ち、寝たきりにならないために必要な栄養です。

また脂肪は肉類に多い飽和脂肪酸と魚類に多い不飽和脂肪酸があります。

飽和脂肪酸を摂り過ぎると悪玉コレステロールであるLDLコレステロールを増やし動脈硬化を促進します。

しかし逆にこれを極端に制限すると脳出血のリスクが高まることが知られています。

不飽和脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)は血中脂質を減らしたり血圧を下げたりして、動脈硬化を予防します。

しかし脂質は高エネルギーですから、摂り過ぎると肥満になりますので注意が必要です。

野菜は1日350g以上(サラダ5~6皿)摂るようにしましょう。

肥満、糖尿病、心筋梗塞を防ぐ食物繊維だけでなく、血圧を下げるカリウムも含まれています(腎臓病の人はカリウムが高くなってしまいますので注意が必要)。

ただこれだけの量を毎日食べるのは大変です。

そこで、加熱してカサを減らし、料理の具に混ぜるなどの工夫をしましょう。

また外食時には野菜の小鉢を追加して食べるように努めましょう。

塩分過剰も血圧を上昇させ動脈硬化を招きます。

加えて胃の粘膜を壊して胃がんのリスクが高まるといわれています。

1日の食塩摂取量を男性8g未満、女性7g未満(高血圧の人は6g未満)に抑えましょう。

そのために塩分ではなく酸味・香辛料・香味野菜・だしを活用し、濃い味を1品に集中させるなどの工夫をしましょう。

 

運動が不足することで糖分、脂肪が蓄積し、生活習慣病、がん、うつ、認知症になってしまいます。

これらを予防するために、有酸素運動、レジスタンス運動、柔軟体操の三大運動をおこないましょう。

有酸素運動とは、歩行、速歩、軽いジョギング、水中歩行などで、脂肪の代謝を上昇させます。

特に生活習慣病予防に有効です。

天気が良くない日にはスローステップ(踏み台昇降運動)などの「ながら運動」をおこないましょう。

レジスタンス運動は筋肉のタンパク質量を増やしてエネルギー代謝を上昇させます。

最近話題のスクワットなどに挑戦してみましょう。

柔軟体操の典型は静的ストレッチで、運動後や就寝前におこない、副交感神経を活性化します。

一方、動的ストレッチの代表はラジオ体操で、運動前や起床後におこない、交感神経を活性化します。

そして、これら三大運動を組み合わせることで大きな効果を期待できるのが、ヨガと太極拳です。

副交感神経を活発にして心身をリラックスさせ、深い腹式呼吸で有酸素性運動の効果があり、足腰の筋力もアップします。

 

 

 

 

5.おわりに

 

最初の方で述べましたように、当クリニックでは皆さまの健康維持のため、そして健康で長生きしていただけるように、国民健康づくり運動に参加し、予防と未病に取り組んでいます。

医師会員としての特定健康診査、予防接種を含め、産業医としての雇用時健診、従業員健診、人間ドックなど、これからも地域住民や企業の皆さまの健康づくりをサポートしてまいります。

 

写真3 参加していただいた皆様と

 

 

武本 重毅
武本 重毅
聚楽内科クリニックの院長、医学博士。