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精神的ケア「不安・緊張」 <医学博士とシェフ・ソムリエの健康レシピ#4>


 
 
 
 不安は漠然とした恐れの感覚で誰もが経験します。不安感は内的および外的脅威に対して注意を喚起し、覚醒度を上げることにより、生命を守るよう対処する役目を担っており、そのため自律神経症状などの身体症状を伴います。
強い不安が反復して起こり我慢しがたい場合は病的な不安であり、これを不安障害と呼びます。
例えば、狭い空間や人混みなど特定の場所や状況で不安や緊張感が高まるパニック症候群や、人と関わる場面で不安や恐怖を感じる社交不安症、そして熊本地震など自然災害後に起こる心的外傷後ストレス障害(PTSD)など、ご存知の方も多いでしょう。
 
 もちろん不安を引き起こす疾患もありますので、そのような場合には原因である疾患の治療が最優先であり、これらを鑑別する必要があります。
たとえば脳腫瘍、脳血管障害、パーキンソン病など中枢神経疾患、甲状腺疾患など内分泌疾患、そして膠原病などは重要です。
しかしながら少子高齢化と格差が進む日本において、原因不明の「不安・緊張」に悩む若者、労働者、女性、高齢者は増えており、学校や職場、そして社会を活性化し元気にするために毎日の食生活からのアプローチは大切です。
 
 今回ご紹介するメディカルハーブはリンデンです。きっと悩んでいる皆さまのお役に立つはずです。
 

① ハーブ名 リンデン

学名: Tilia europaea(ティリア エウロパエア)
和名: セイヨウボタイジュ
科名: アオイ科(シナノキ科)*
   *アオイ科は新しい科名、シナノキ科はこれまで使われてきた科名
使用部位: 花部(苞)、葉部
花の色: クリーム色
主要成分: フラボノイド配糖体(ルチン、ヒペロシド、ティリロシド)、アラビノガラクタン(粘液質)、タンニン、カフェ酸、クロロゲン酸、精油(ファルネソール)
作用: 発汗、鎮静、利尿
適応: 風邪、高血圧、不眠、上気道カタル
 
 

引用写真3(リンデン)


 
ヨーロッパが原産の高木です。樹高は40m程になります。鎮静効果が高いハーブです。作用が穏やかなので、子供からお年寄りまで安心して使用できます。
リンデンの木の部分を使用したものをリンデンウッド、花・苞を使用したものをリンデンフラワーといい、2種類あります。
リンデンの木は「1000の用途」があるといわれるほど様々に利用されています。
リンデンはライムとも呼ばれますが、柑橘のライムとは異なるものです。
リンデンフラワーは特に癒しの効果に優れます。精神的な緊張・不安・イライラを取り除いてくれます。その場合はオレンジフラワーとのブレンドが有名です。
また、発汗、利尿作用に優れ、風邪、インフルエンザ、高血圧、上気道カタル、不眠などに用いられます。
 
リンデンにはフラボノイドの中でも血圧の正常化を促進する効果が高いピオフラボノイドという成分が多く含まれています。
この成分の特徴は血圧を正常値まで下げ、くわえて動脈硬化の原因になる血管の径を拡げる効果をもっています。
利尿作用が強いのも大きな特徴です。人間の体内に多くの水分があると、これを循環させるために心臓に負荷がかかります。そして血流を維持しようとすると血圧が上昇し高血圧になります。
この症状を改善するには、心臓の負荷を減らし血液の流れをより良くするために過剰な水分を体外に排出する必要があります。
このようにリンデンには、血管の状態を整えるだけではなく水分量を調整する効果があり、このため高血圧と動脈硬化になりやすい人、その再発防止にはうってつけのハーブです(健康レシピ3:動脈硬化など生活習慣病)。
注意点としては、利尿作用があるため、腎臓疾患がある人ならびに降圧薬や利尿剤などの薬剤を服用している場合には医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
 
 

安全性について

適切に使用する場合、クラス1に分類されます。
 

おすすめレシピ
1. リンデンのティー
材料 <1杯分>

リンデン 3g
熱湯 200cc
 

作り方

細かくしたリンデンを熱湯で5分間抽出し、茶こしを使ってカップに注ぎます。

 
 

2. リンデンを使ったフランス料理「10種の野菜と車海老のテリーヌ、リンデンの香り」

 
 

完成写真4(テリーヌ)


 
 

材料 <15人分>

車海老 8匹
キャベツ 10枚
パプリカ赤 3個
パプリカ黄 3個
ズッキーニ 2本、
ヤングコーン 10本
プチトマト 15個
ブロッコリー 1房
牛蒡 2本
椎茸 15個
人参 1本
コンソメ 1ℓ
板ゼラチン 15g
リンデン 10g
ハーブソース 30cc
 

作り方

1. 車海老を串に刺し、玉葱、人参、セロリ、レモン、塩、白ワイン、白ワインヴィネガー入りのお湯でボイルし、氷水に上げます。
 
2. キャベツ、ズッキーニ、ヤングコーン、ブロッコリー、人参をたっぷりの塩を入れたお湯でボイルし、氷水に上げます。
 
3. 牛蒡、椎茸は分量のコンソメ(作り方は後述)でそれぞれボイルします。
 
4. プチトマトは湯むきします。
 
5. パプリカはバーナー又は、コンロの火で表面が真っ黒くなるまで焼き、氷水に上げます。
 
6. 板ゼラチンをたっぷりの水につけ、戻しておきます。
 
7. それぞれの野菜と車海老をペーパータオルに上げ、水分を切っておきます。
 
8. 牛蒡、椎茸をボイルしたコンソメを沸かし、リンデンを入れ3分間抽出し、戻しておいたゼラチンを入れ溶かしたら、裏濾しします。
 
9. テリーヌの型を用意し、最初にコンソメに潜らせたキャベツを敷き詰め、次に、他の野菜と車海老を同じようにコンソメに潜らせながら、詰めていきます。詰め終えたら上から重石をしてプレスし冷蔵庫で5~6時間休ませます。
 
10. 固まったら、お好みの厚さに切り分け、皿に盛りソースを回りに飾り、完成です。
 
 

シェフとしてのアドバイス方

☑ 野菜はそれぞれ火の入り方が違います、その野菜の旨みを十分に引き出す火の入れ方があるので参考にして下さい。
 
☑ それぞれの食材の水分をペーパータオルでよく拭き取る事でゼラチンのつきが良くなり、きれいに固める事が出来ます。
 
☑ 家庭でされる場合の重石は、1ℓ入りの未開封の牛乳や生クリームを横に倒して代用可能です。
 
☑ リンデンの成分をコンソメに抽出する事で、よりよい効能・作用が見込まれます。
 
☑ コンソメは市販品の物でも十分美味しく出来ますが、この本のコンセプトとしてあくまでも健康で体に良いものを使用しておりますので、保存料、添加物、香料などを含まない自家製をおすすめいたします。
 
 

 
 

作り方
A) ブイヨン

1. 鶏ガラは時間をかけて血合い、余分な脂を綺麗に取り除き水にさらしておきます。そうすることで仕上がりのブイヨンに雑味がなくよりクリアーなものに仕上がります。
 
2. 玉葱、人参は丸のまま、セロリは大きめにカットします。長時間煮込む為、野菜が溶けてブイヨンが濁るのを防ぐ為に丸のままいれます。ただし、味が出やすいように芯の部分に切り込みを入れます。玉葱にクローブ2~3粒を刺します。クローブを入れることで脂っこくなくすっきりとした味わいが生まれます。
 
3. 十分に水にさらした鶏ガラ、丸鶏を鍋に入れたっぷりの水をはり、火にかけます。沸騰したら、アクを十分に取り除き、野菜と他の材料を入れます。後は浮いてくるアクを取りながら弱火で煮込みます。その時の素材に応じて多少時間は変わりますが、8時間を煮込む目安とします。これを「ミジョテ」といい、フランス料理の世界では弱火でコトコト煮込むことです。そうすることで濁りのない、クリアーなブイヨンに仕上がります。
 
4. 8時間後ネル(なければサラシ)を使いレードルで丁寧に濾します。その時一気に鍋ごと返そうとすると濁る原因になるので注意が必要です。
 
 

B) コンソメ(次にコンソメを作ります!)

1. 先ほどのブイヨンを良く冷やします。冷えたら余分な脂が浮き固まっているので取り除きます。
 
2. 牛すねおよび牛ももミンチ、玉葱、人参、セロリを混ぜ合わせます。ここでは、野菜とミンチ、卵白がよく混ざり合うように野菜はスライスにします(フランス語でスライスにすることを「エマンセ」という)。そこにトマトピューレ、ざく切りにしたトマト、ローリエ、岩塩、玉葱の皮**、軽く泡立てた卵白を良く混ぜ合わせ、ブイヨンを入れ火にかけます。最初は混ぜながら火を入れ、60℃位になったら混ぜるのをやめます(卵白は60℃前後から凝固が始まり80℃以上で完全に凝固する)。卵白の性質を利用し、卵白が不味(ふみ)成分や濁りの成分とともに固まり簡単にすくい取ることができます。これは肉類を煮たときの灰汁の発生原理を応用し効率を高めています。つまり、肉類から煮汁に溶け出し、熱変性で凝固するときに様々な癖の強い不味成分や濁りの成分を吸着する水溶性タンパク質の供給を、泡立てた卵白を加えることで極端に多くし、除去したい成分の吸着率を大幅に高くしているのです。
 
3. その後はブイヨン同様、「ミジョテ」の状態で8時間煮込みます。その間中心に穴を開け液体が循環するようにします。そうしないと濁る原因になるので注意が必要です。
 
4. 8時間後ネル(なければサラシ)を使いレードルで丁寧に濾します。その時一気に鍋ごと返そうとすると濁る原因になるのでここも注意が必要です(これもブイヨンと同様)。ちなみにコンソメとはフランス語で「完成された」を意味しており、その名の通り澄んでいて琥珀色のスープ(玉葱の皮に含まれる茶色い色素でコンソメの艶のある色合いを引き出す)になります。
 
**玉葱の皮に抗酸化ポリフェノールの一種、ケルセチンが含まれています。玉葱の白い部分にもこのケルセチンは含まれていますが、玉葱の皮にはその約30倍も含まれています。現代病といわれる生活習慣病からがんに至るまでの予防効果、また身近なものでは肩こりの解消まで期待できます。
 

この料理にはこのワインがおすすめ
キュヴェ・アナテーム・ブラン 2013 ドメーヌ・モン・ド・マリー 自然派・ビオワイン

 
 

引用写真5


 
 
樹齢70年のユニ・ブラン100%。ソーヴィニャルグ村の近く、陽の当たるのが遅い北向き区画で、周囲より気温が3~4℃涼しいので、南仏にも関わらずきれいな酸が出るのが特徴です。
ぶどうを丸ごとプレスし搾ったジュースをデブルバージュして発酵、9ヶ月間シュール・リーにて熟成させます。
車海老や数種類に野菜、すっきりとしたコンソメゼリー、ハーブソースに、柑橘系でさわやかな味わいがよく合います。
 
銘柄: キュヴェ・アナテーム・ブラン
ヴィンテージ: 2013年
タイプ: 白
品種: ユニ・ブラン
原産国: フランス・ラングドック・ルーション
造り手: ドメーヌ・モン・ド・マリー
 
 

ソムリエとしてのテイスティングコメント

レモンなどの柑橘類やカリンなどのニュアンスが感じられます。果実味が主体のアロマで、より厚みがあり滑らかで、芳香性が高く、丸みがありながらさわやかな味わいが特徴のワインです。

 
 
 

聚楽コミュニティクラブ 西洋料理シェフ 瀬尾 功(せお いさお)

日本ソムリエ協会認定 ソムリエ
C.P.A.認定 コムラード・オブ・チーズ
国家技能検定資格 西洋料理専門調理師・調理技能士単1級
調理技術技能センター 専門調理食育推進員認定
日本鉄板焼協会認定 1級
日本メディカルハーブ協会認定 メディカルハーブコーディネーター
 
 

聚楽内科クリニック 院長 武本重毅(たけもと しげき)

熊本大学大学院医学研究科 医学博士
社団法人日本内科学会認定内科医
外国医師又は外国歯科医師が行う臨床修練に係る臨床修練指導医
社団法人日本血液学会認定血液専門医
社団法人日本血液学会認定血液指導医
国立大学法人熊本大学特別貢献会員
日本医師会認定産業医
一般社団法人日本健康生活推進協会健康マスターエキスパート
 
 

武本 重毅
武本 重毅
聚楽内科クリニックの院長、医学博士。