臨床の現場で本当に悔しい思いをするから、未病の研究アイデアが浮かんでくる

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武本 重毅

待ち望まれた、成人T細胞白血病(ATL)発症の早期発見技術の確立

成人T細胞白血病(ATL)は発見されたときには進行しているケースが多く、長く、早期発見技術の確立が望まれている。21世紀に入り、その分野に一筋の光明が差し込んだ。武本重毅の特殊疾病研究チームが、ATL細胞遺伝子やタンパクを測定するという従来の方法ではなく、細胞表面から切断されるサイトカイン受容体を複数測定するという、まったく新しいアプローチの腫瘍マーカーを開発したのである。

特許
1. 特開2013-083670 : 成人T細胞白血病の急性転化を判定するための方法
武本 重毅, 鵜澤 耕治, 守田 和樹, 佐川 英二
2. 特開2013-083671 : くすぶり型又は慢性型の成人T細胞白血病患者の急性転化後の治療方針を決定するための方法
武本 重毅, 鵜澤 耕治, 守田 和樹, 佐川 英二
3. 特開2014-059298 : 成人T細胞白血病の発症し易さを試験する方法
武本 重毅, 鵜澤 耕治, 守田 和樹, 渡邊 俊樹
4. 特開2014-059299 : 慢性型成人ヒトT細胞白血病(ATL)から急性型ATLへの急性転化のし易さを試験する方法
武本 重毅, 鵜澤 耕治, 守田 和樹

発症、急性転化する前の段階で診断できる方法はないのか

メカニズムは次のとおり、T細胞増殖刺激因子のひとつであるインターロイキン2(IL-2)の受容体はα鎖、β鎖、γ鎖から成るが、そのα鎖(CD25とも呼ばれる)が切断された可溶性IL-2受容体(soluble IL-2R: sIL-2R)は、ATL患者血清中で高濃度を示す。またATLの原因ウイルスであるHTLV-1が感染した細胞などで発現するCD30もまた、ADAM10とADAM17とよばれる酵素により切断されてATL患者血清中で高濃度を示す。そこでこれらの可溶性タンパクを腫瘍マーカーとして活用できる検査技術を確立したのだった。

血清中の可溶性タンパクを利用した世界初の腫瘍マーカー技術が、日本発で―。それだけでも話題性は十分だが、大きなトピックは他にもある。開発を牽引したのが、基礎研究者でも大学講師でもなく、血液内科医だということ。武本は生粋の血液内科医であり血液腫瘍の専門家。

武本 重毅
武本 重毅
聚楽内科クリニックの院長、医学博士。