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聚楽内科クリニック院長先生の
健康講座

第5回:

インフルエンザの予防対策

    開催日:
    2017年10月7日
    場所:
    特別養護老人ホーム 風の木苑
    講師:
    聚楽内科クリニック院長 武本重毅

 インフルエンザウイルス感染を防ぐためには、うがい・手洗い・マスク・湿度管理といった日頃からの対策に加えて、流行前のワクチン接種も重要です。診断・治療などについても簡単に説明させていただきました。


 季節性インフルエンザは毎年11月から4月頃にかけて発生を認めます。風邪よりも感染力が強く、発熱や痛みなどの強い症状や合併症できつい経験をされた方もいらっしゃるでしょう。

 突然の38~39℃の高熱や頭痛、関節痛、筋肉痛などに加えて、咳や鼻水などの風邪症状も認めます。通常は1週間程度で自然に治りますが、高齢者や心臓・肺・腎臓などに慢性の病気を抱えている人、糖尿病などの免疫力が低下する病気になっている人、乳児や妊婦さんは、肺炎などの合併症を起こして重症化することがあるので注意が必要です。

 高齢者施設ではリハビリやラウンジなど共同利用場所での接触機会が多いため、入所者へのインフルエンザワクチン接種は施設内感染対策のみならず、重症化の予防にきわめて重要です。

 ワクチンの効果が現れるまで2週間ほどの期間がかかるので、本格的な流行を迎える12月上旬前までに予防接種を受けるのが望ましいでしょう。予防接種をしたからといって絶対にインフルエンザにかからないわけではありませんが、症状が軽くなるといわれています。ワクチンの効果は通常60~80%程度であり、高齢者ではさらに効果は低下します。

 また空気が乾燥していると喉の粘膜の抵抗力が弱くなりますので、加湿器などを用いて十分な湿度を保ちましょう。

 診断は迅速診断キットが普及しており、検査してから30分で結果がわかります。聚楽内科クリニックでは、今一番早く診断できるキットを使用しており、15分以内の結果判定が可能となりました。

 抗ウイルス薬である内服薬のタミフル、吸入薬のリレンザ、などが治療に使われます。効果が最も高いのは発症して48時間以内です。インフルエンザを疑う症状が出たら早めに受診しましょう。この治療により、発熱期間が1~2日短くなり、ウイルスの排出が減りますので、他の人にうつす機会も減ることになります。聚楽内科クリニックでは、唯一の点滴治療薬であるラピアクタを準備しています。この治療法のよいところは、1回の点滴治療だけでよいということです(上記の内服薬や吸入薬は5日間投与)。

 外出を控える時期については、一般的には、インフルエンザの症状が出てから3~7日間はウイルスを排出するといわれており、この間は感染力がある状態です。学校保健法によれば、「解熱した後2日を経過するまで」かつ「発症後5日間」を出席停止の期間としています。

 症状が続く場合は職場などで他の人にうつさないためにも「咳エチケット」を意識しましょう。

※この記事は院長が行った講座の内容をまとめたものです。