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院長日記

5. 血液型不明患者への緊急輸血について

武本 重毅

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血液型の確定前にはO型の赤血球(全血は不可)を使用する。交差適合試験を行なわず輸血する。但しその輸血前に必ず血液型用採血を行い、なるべく速やかに患者の血液型検査を行い、輸血する血球製剤をO型から患者血液型と同型の製剤に切り替える。また出血性ショックを含む大量出血時では、時に同型赤血球輸血だけでは対応できないこともある。どのような場合は救命を第一と考え、O型赤血球を含む血液型は異なるが適合である赤血球(異型適合血)を使用する。O型赤血球には血液型抗原がないため抗A抗体と抗B抗体の両方に免疫反応が起こらない。D抗原が陰性のときには、Rh陰性を優先して異型適合血を使用してもよい。特に患者が妊娠可能な女性でRh陽性の血液を輸血した場合は、できるだけ早くRh陰性の血液に切り替える。D抗原は免疫原性が強く、D不適合輸血では50~70%に抗体が産生される。この抗Rh抗体は新生児溶血性疾患の原因になる。

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武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。