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院長日記

未来の医師は薬ではなく、食物で病を治療するだろう。 トーマス・エジソン

武本 重毅

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偉大な天才たちは、食と病気の関係について深く考え、人間の体が食べたものによってつくられている以上、罹った病気を治すのも食べ物が最善であるという答えを得たのでしょう。

 外科医であるエセルスティン博士は、その著書の中でこう記しています。

「私は冠動脈疾患を家の家事にたとえてよくこう言います。間違った種類の食べ物を食べていたから、心臓病を引き起こしてしまい、あなたの体は今火事になっているのです。
 それでも、心臓病を引き起こした原因となる食べ物をなお食べ続けるとしたら、それは『火の上からガソリンを注いでいる』ことなのです。
 私は自分の患者たちに、ほんの少量のガソリンさえも火に注いでほしくないのです。ガソリンを注ぐのをやめれば家事は消えます。食事を改善すれば、あなたの心臓病は治るのです」

「最も重要なのは、プラークが誘発する炎症を一酸化窒素が強力に消滅させる働きがあることだ」

「病気は過去のものとなります。バイパス手術で迂回させる、あるいはバルーンで狭窄物を押しつぶす、またはワイヤーの先に取り付けた金具で血管を広げて固定しておくなど、いずれも狭心症緩和の一時的な手段に過ぎない治療法の代わりに、私のプログラムを実践すれば、この病気を完全に予防することができ、発症していても直ちにその進行を食い止めることができる」

 コレステロール値が大幅に低下したため、動脈の内側を構成する内皮細胞の一酸化窒素製造能力が高まり、その結果、病気によって狭くなっていた動脈さえも拡張したのです。

 改善されたのはこれだけではありません。血中コレステロール値が下がれば、赤血球を覆っている細胞膜が薄くなるため、その浸透性が高くなるといいます。その結果、赤血球は肺を通過するときに酸素を容易に取り込め、心臓の筋肉の間を循環するとき、酸素をもっと効率よく放出できるようになるのです。

 オーニッシ博士の講演趣旨では、

「私たちは医学の進歩を、新しい薬やレーザー、科学的行為など、何かハイテクで費用の高いものと考える傾向がある。このプレゼンテーションでは、ハイテクでかつ最新の手法を使った30年以上の研究を振り返って、広範なライフスタイルの変更を行ったときのローテク、ローコストで、かつ古代のやり方ともいえる方法が、現在の治療と比較して効果的であることを論じる。最後にこのプレゼンテーションは健康に良い広範なライフスタイルの変化が医学的及び経済的両面に良い効果をもたらすことにも言及する」

と記した。

 そして、食事療法及びライフスタイルの変更を行った患者のテロメラーゼ酵素の変化を追跡し、わずか3ヵ月で明らかにテロメラーゼが増えていた。この酵素は加齢や病気によって短くなったテロメアを修復する働きをするものです。

(真柄俊一、食は現代医療を超えた)

 

 ファイトケミカル、あるいはブロッコリーや他のアブラナ科植物の成分であるスルフォラン混合物質など、がん幹細胞を殺す物質についても言及されており、食の効能には大変驚かされました。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。