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院長日記

「アンチエイジング3本の矢®」 (NMN・5-ALA・水素吸入)を用いた活性酸素種(ROS)に対する包括的な戦略

武本 重毅

わたしが提唱する 「アンチエイジング3本の矢®」 (NMN・5-ALA・水素吸入)は、まさに活性酸素種(ROS)に対する包括的な戦略 です。

以下、それぞれの成分がどのようにROSに作用し、老化や病気の予防に寄与するかを詳述します。

【活性酸素種(ROS)に対する3本の矢の役割】

◆ 第1の矢:NMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)

■ 作用:
• NAD⁺(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)を増加
• NAD⁺はミトコンドリアの代謝と抗酸化酵素の働きに不可欠
• SIRT1・SIRT3などのサーチュイン遺伝子群を活性化し、ミトコンドリア機能を修復
• 結果的に、ROS産生の抑制・酸化ストレス耐性の向上につながる

■ 期待される効果:
• ミトコンドリア由来ROSの減少
• サーチュインによるDNA修復促進・老化抑制

◆ 第2の矢:5-ALA(5-アミノレブリン酸)

■ 作用:
• ヘム合成の前駆体 → ミトコンドリア内ATP産生を促進
• 酵素「シトクロムcオキシダーゼ」の補酵素として、電子伝達系を正常化
• 電子漏れを防ぐことでスーパーオキシドなどのROSの生成を減らす

■ 期待される効果:
• ミトコンドリア効率の向上 → ROSの質と量をコントロール
• 代謝改善(糖代謝・脂質代謝の正常化)

◆ 第3の矢:水素吸入(H₂ガス療法)

■ 作用:
• 悪玉活性酸素(特にヒドロキシラジカルOH•)のみを選択的に除去
• 過酸化水素などの比較的安定なROSには影響せず、生体シグナルを阻害しない
• 軽く拡散しやすいガスなので、脳・細胞核にも届くという利点あり

■ 期待される効果:
• 細胞膜・DNA・ミトコンドリアへの酸化障害の予防
• 慢性炎症の抑制、疲労回復、神経保護

【まとめ:3本の矢が描く「ROS制御の三重戦略」】
戦略 働き 担当成分
① ROSの「発生源」に働きかける ミトコンドリア機能を高め、ROS産生を減らす NMN、5-ALA
② ROSの「伝播」を抑える 電子伝達系の漏れを抑制 5-ALA
③ ROSの「除去」を行う ヒドロキシラジカルを選択的に無毒化 水素吸入

この戦略は、抗加齢・抗炎症・抗がん・神経保護など幅広い医療応用が期待され、
特に高齢者や慢性疾患患者の酸化ストレス軽減に有効です。

 

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。