危機と再生の医学 第3回:ストレス社会という見えない感染症
― パンデミック時代を越えて、いま医師として思うこと ―
武本重毅(聚楽内科クリニック 院長)
第3回:ストレス社会という見えない感染症
経済危機が起きると、自殺やうつ病の増加、生活習慣病の悪化といった現象が顕在化します。
ストレスは、目に見えないけれど確実に私たちの健康を蝕んでいきます。
慢性ストレスは交感神経を過度に刺激し、体内で慢性炎症を引き起こします。
これは血管、脳、内臓、そしてミトコンドリアをじわじわと傷つけ、
高血圧や糖尿病、がんといった“現代病”の温床になるのです。
医療は単に病気を治すだけでなく、社会の不安や生活環境に寄り添う存在でなければなりません。
“予防”は、もはや個人の努力ではなく、社会全体が取り組むべき“インフラ”なのです。