危機と再生の医学 第4回:戦争が医療を進化させたという皮肉
― パンデミック時代を越えて、いま医師として思うこと ―
武本重毅(聚楽内科クリニック 院長)
第4回:戦争が医療を進化させたという皮肉
第一次世界大戦で外傷外科と輸血が、
第二次世界大戦で抗生物質と精神医療が、
ベトナム戦争では医療搬送や義肢再建が――
こうした歴史は、戦争が医療を大きく進歩させた事実を物語っています。
しかしそれは、多くの犠牲の上に築かれた進歩です。
私たちは問い直さなければなりません。
「命を守る技術は、破壊ではなく平和の中で進化できるはずだ」と。
いま、ミトコンドリアの活性化、細胞の若返り、酸化ストレスの制御など、
“壊さずに再生する医療”が静かに広がっています。
それこそが、これからの時代にふさわしい進歩ではないでしょうか。