老化に伴う性腺機能の低下
男性・女性のいずれにも起こる自然な現象であり、ホルモンバランスの崩れや身体・精神への影響が現れやすくなります。
【1. 性腺とは】
• 男性:精巣(テストステロン分泌)
• 女性:卵巣(エストロゲン・プロゲステロン分泌)
これらの臓器は、生殖機能に加え、骨密度・筋肉・気分・代謝・性機能などに深く関わります。
【2. 老化による主な変化】
項目 男性 女性
性ホルモン テストステロン低下 エストロゲン急減(閉経)
ホルモンバランス LH・FSH上昇(負のフィードバック減少) 同様にLH・FSH上昇
ホルモン日内リズム 不安定になる 月経終了後は一定しない
【3. 主な症状と影響】
● 男性(LOH症候群:加齢男性性腺機能低下症)
• 疲労感・意欲低下
• 性欲減退・勃起障害
• うつ傾向・イライラ
• 筋力・骨密度の低下
• 内臓脂肪の増加(メタボ体型)
● 女性(更年期症候群)
• のぼせ・発汗・動悸
• 不眠・不安感・抑うつ
• 腟乾燥・性交痛
• 骨粗鬆症・筋肉減少
• 高脂血症・動脈硬化のリスク増加
【4. 健康影響:見逃せない変化】
• 骨粗鬆症の進行
• うつ病・認知機能の低下
• 生活習慣病(高血圧・脂質異常症)
• サルコペニア・フレイルの進行
【5. 対応と治療】
方法 内容
ホルモン補充療法(HRT) テストステロンゲル・パッチ、エストロゲン製剤など(慎重な適応が必要)
食事・運動・睡眠 ミトコンドリア活性維持、筋肉量・QOL向上に不可欠
ストレスケア ストレスは性腺軸(視床下部‐下垂体‐性腺)を抑制
DHEAの補助 前駆体として補助的に使用されることがある
【6. 補足:ミトコンドリアとの関係】
性ホルモンはミトコンドリアの働きとも密接に関係。性ホルモンが減ると、細胞のエネルギー産生効率が低下し、「老化」の進行が加速します。
【まとめ】
老化による性腺機能低下は、「生殖の終わり」だけでなく、「全身のバランス変化」を意味します。心身の変化に早めに気づき、適切なケアを行うことで、健康寿命を大きく延ばすことができます。