Director's blog
院長日記

「“エセ医療”への警戒」

武本 重毅

「“エセ医療”(※)への警戒」は、コロナ禍を通じて特に強くなった社会的傾向のひとつです。以下に、その背景とアンチエイジング医療との関係を深掘りして整理いたします。

■ “エセ医療”への警戒:コロナ禍が浮き彫りにした情報の信頼性問題

● 玉石混交の医療情報とSNS時代のリスク
• パンデミックにより、人々は日常的に「健康」や「免疫」について調べるようになり、SNSやYouTubeなどで医療情報に触れる機会が急増。
• その一方で、「科学的根拠に乏しい治療法」や「陰謀論的な健康商材」が広まり、医療不信と混乱を助長しました。
• 例:反ワクチン系商材、デトックス水、血液クレンジング等
• 一般の人が「何が正しい情報なのか」を見分けるのが難しくなり、医師監修・専門家発信の価値が再評価されるようになりました。

● アンチエイジング医療の立場から見た“エセ医療”との距離
• アンチエイジング医療の一部には、未承認のサプリメント、根拠の乏しい注射療法なども存在し、しばしば“エセ医療”と混同されるリスクが存在。
• だからこそ、信頼されるためには次のような方針が不可欠です:
• 科学的根拠(エビデンス)に基づく説明
• データと実績に基づく臨床応用
• 学会発表・論文・書籍等による透明性の確保
• 本物のアンチエイジング医療は、「トンデモ医療」との線引きを明確にしなければ信頼を失う時代に入ったと言えます。

● 患者側の“ヘルスリテラシー”向上と医師の責任
• 情報が溢れる現代では、患者自身も「何を選ぶか」の判断力=ヘルスリテラシーが求められます。
• 医師や医療機関には、単に「自由診療を提供する」だけでなく、「なぜそれが必要なのか」「何に効くのか」「副作用やリスクは何か」などを明確に伝える倫理的責任が生まれています。

■ 結論:エセ医療への警戒は、信頼あるアンチエイジング医療を際立たせる機会でもある

新型コロナによって「誰を信じるか」が医療選択の最大テーマとなった今、
信頼できる専門医による、科学に基づいた個別対応こそが、
自由診療やアンチエイジング医療の「正道」であると認識されつつあります。

※エセ医療については、https://books.bunshun.jp/articles/-/8945 を参照のこと

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。