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院長日記

ミトコンドリアと睡眠の深い関係 ──夜に“細胞が修復される”って本当?

武本 重毅

■「寝ても疲れが取れない」人が増えている
「たっぷり寝たはずなのに、朝からだるい」
「夢ばかり見て熟睡感がない」
「夜中に何度も目が覚めてしまう」

こうした睡眠の質の低下に悩む方は年々増えています。
そして実は、こうした「睡眠不調」こそが、ミトコンドリアの働きに大きく影響していることがわかってきました。

私たちの細胞の修復時間は、夜の深い眠りの中にあるのです。

■ 睡眠中、ミトコンドリアは「メンテナンスモード」になる
昼間、ミトコンドリアはATP(エネルギー)をせっせと作ってくれます。
そのぶん、活性酸素(ROS)も発生し、細胞は少しずつ傷ついていきます。

ところが夜間、特に深いノンレム睡眠中になると、体は活動を休め、ミトコンドリア自身の修復・再生が始まるのです。
•  ATP産生は一時的に抑えられ、代謝は低下モードに
•  DNA修復酵素(SIRT1など)が活性化
•  NAD⁺のリサイクル(サルベージ経路)が進む
•  ミトコンドリアの融合・分裂が活発化し、“不良品”を除去

つまり、眠りこそが「細胞の再起動スイッチ」とも言えるのです。

■ 睡眠不足がミトコンドリア機能を壊す?
慢性的な睡眠不足や浅い眠りが続くと…
•  ミトコンドリアの数と質が低下
•  ATPの産生が不十分になり「朝から疲れている」状態に
•  ミトファジー(ミトコンドリアの掃除)が進まず、老廃物がたまる
•  認知機能・免疫機能・ホルモンバランスが崩れる

このように、睡眠の質が悪いと、細胞レベルで“元気が戻らない体”になってしまうのです。

■ ミトコンドリア活性化×睡眠改善のポイント
私たちのクリニックでは、「ミトコンドリアを整える睡眠習慣」を以下のように提案しています:

 ミトコンドリア活性化・快眠サポート習慣
• 21時以降はスマホを見ない(ブルーライト回避)
• 夕食は就寝の3時間前までに済ませる
• 入浴は就寝の90分前に(深部体温調整)
• 朝日を浴びて体内時計を整える
• 水素ガス吸入やWOTTで副交感神経を活性化
• NMNサプリは朝、5-ALAは体内リズムに合わせて

■ まとめ:「良い眠りが、細胞を若返らせる」
「よく眠れているかどうか」は、見た目の若々しさだけでなく、
ミトコンドリアの“寿命”にまで関わる重要な因子です。

眠りは贅沢でも無駄でもありません。
それは、あなたの細胞が“生まれ変わる時間”です。

日中どんなに忙しくても、夜はしっかりと「細胞にごほうびをあげる時間」にしてみませんか?

次回予告:
「“ミトコンドリアは筋肉に多い”って本当?──運動がエネルギーを生む理由」

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。