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院長日記

“ミトコンドリアは糖より脂肪が好き?” ──代謝スイッチとアンチエイジングの新常識

武本 重毅

■「甘いものがやめられない」「太りやすい」は“燃料の選び方”のせい?
「糖質制限が気になるけど、続かない…」
「食べるとすぐ眠くなる・だるくなる」
「昔より脂肪が落ちにくくなった」

こんなお悩み、ありませんか?

実はこれらは、体の中の「燃料の使い方=代謝スイッチ」のズレによって起こっているかもしれません。
そのカギを握るのが、細胞の発電所=ミトコンドリアです。

■ ミトコンドリアは“糖”も“脂肪”も使えるけれど…
ミトコンドリアは、糖(グルコース)も脂肪酸も燃料にしてATPを作ることができます。
しかし実は、脂肪を燃やすときの方が「効率よく、安定してATPを作れる」という特徴があるのです。
•  糖代謝(解糖系) → 酸素がなくてもエネルギーは作れるが、持久力がない&乳酸が出る
•  脂肪酸代謝(β酸化) → 酸素が必要だが、ATPの生産量が大きい&ミトコンドリア機能が鍛えられる

つまり、“脂肪をうまく使える体”=ミトコンドリアが活性化している体とも言えるのです。

■ 現代人は“糖依存型ミトコンドリア”になりがち?
現代の食生活では、白米・パン・麺・砂糖・果糖などの「高糖質食品」に囲まれています。
すると、体は“手っ取り早く使える糖”ばかりをエネルギー源に選び、
脂肪を使う能力(=代謝の柔軟性)が失われていきます。

この状態が続くと…
•  脂肪が燃えにくく、体脂肪が蓄積
•  ミトコンドリアの数が減り、機能が衰える
•  インスリン抵抗性が高まり、糖尿病・老化加速へ

つまり、“糖ばかり使うミトコンドリア”では、老化も疲れやすさも止められないのです。

■ アンチエイジングの鍵は「代謝スイッチの切り替え」
ミトコンドリア活性化では、「脂肪を燃やせる体」へ切り替えることを大切にしています。

そのために有効なのが、以下のような日常の工夫です:

 ミトコンドリア活性化「代謝スイッチON」習慣
•  朝食は控えめ or プチ断食(16時間空腹法) → 脂肪燃焼モードに切り替わる
•  空腹時の軽い運動(ウォーキングやヨガ) → ミトコンドリアを使った脂肪代謝が促進
•  糖質を減らし、良質な脂質をとる(青魚・オリーブ油・ナッツなど)
•  5-ALA・NMNサプリとの併用 → ミトコンドリア機能を後押しし、エネルギー変換をスムーズに

こうした生活習慣の見直しで、「糖依存体質」→「脂肪燃焼体質」へと、体質の再設計が可能なのです。

■ まとめ:「燃料の選び方」で、未来の自分が変わる
私たちの体は、何を燃やして生きているかで、
老化のスピードも、疲れやすさも、病気のリスクも変わってきます。

糖ばかりに頼るミトコンドリアではなく、脂肪も上手に燃やすミトコンドリアを育てること──
それが、現代人のアンチエイジングの第一歩です。

まずは、食事・運動・サプリ・睡眠の中から、できることから始めてみてください。

次回予告:
「ミトコンドリア活性化で“脳”も若返る?──記憶・集中・認知機能とミトコンドリア」

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。