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院長日記

“ミトコンドリア活性化”は腎臓・肝臓にも効く? ──沈黙の臓器とエネルギー再生のメカニズム

武本 重毅

■ 「肝臓や腎臓って、悪くなるまで気づきにくい…」
健康診断で「肝機能の数値が少し悪いですね」と言われた
腎臓のeGFRが少しずつ下がっている…
でも特に症状はないし、薬を飲むほどでもない

こうした“無症状の臓器疲労”が、実はミトコンドリアの機能低下によって進んでいる可能性があるのです。

■ 肝臓と腎臓は「ミトコンドリアを最も多く使う臓器」
肝臓も腎臓も、「沈黙の臓器」と呼ばれ、症状が出にくい代わりに、
気づかないうちに疲労が蓄積し、進行すると取り返しがつかないこともあります。

なぜなら、これらの臓器はものすごくエネルギーを消費する臓器だからです。
•  肝臓:解毒・代謝・胆汁生成・糖質管理など、24時間フル稼働
•  腎臓:血液を濾過し、老廃物や余分な水分を排出、電解質バランスを維持

そして、そのエネルギー源を作り出しているのが、肝細胞や腎尿細管細胞内のミトコンドリアなのです。

■ ミトコンドリアが衰えると、どうなる?
加齢・糖質過多・高血圧・薬剤・ストレスなどが重なると、
ミトコンドリアが酸化ストレスにさらされ、次のような悪循環に入ります:
1. ミトコンドリアの数が減る
2. ATPが不足し、解毒・濾過・代謝の機能が落ちる
3. 活性酸素(ROS)が増え、さらに細胞が傷つく
4. 慢性的な“臓器疲労”が進行
5. 数値に現れる頃には、すでに進行した状態に…

つまり、「沈黙の臓器の老化」は、ミトコンドリアのサイレント疲労から始まっているのです。

■ ミトコンドリア活性化で「肝腎かなめ」を守る
聚楽内科クリニックでは、ミトコンドリア活性化を通じて
肝臓や腎臓の負担を軽減し、“細胞からの再生”をサポートしています。

 肝臓・腎臓を支えるミト活アプローチ:
•  NMN → NAD⁺を増やし、細胞修復とエネルギー代謝をサポート
•  5-ALA → ヘム合成・ミトコンドリア内ATP産生を活性化、肝解毒酵素も促進
•  水素ガス吸入療法 → 活性酸素を選択的に除去、肝・腎細胞の酸化ダメージをブロック
•  肝臓にやさしい食事指導(低糖・高食物繊維・発酵食品)
•  睡眠と運動でミト機能維持(特に夕方の有酸素運動は効果的)

これらを総合的に行うことで、「自覚がないうちに進む老化」を食い止めることが可能なのです。

■ まとめ:「沈黙の臓器」にもミトコンドリア活性化を
肝臓や腎臓は、痛みや症状が出たときにはかなりダメージが進んでいることが多い臓器です。
だからこそ、「予防」と「早期のミトコンドリア活性化」がとても重要になります。

ミトコンドリアのケアは、沈黙の臓器を静かに守る、未来の医療のかたちです。

日々のエネルギーを作る“発電所”を守ることが、
長く健康に生きるための「肝腎要(かんじんかなめ)」なのです。

次回予告:
「“ミトコンドリア活性化”で免疫も変わる?──風邪・炎症・アレルギーとエネルギーの関係」

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。