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院長日記

【第4回】Mito Rising応用編:「心臓とMito Rising」

武本 重毅

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「心臓は“ミトが命”──心不全・動悸・冷えとATP不足の関係」

私たちの心臓は、1日10万回近く休むことなく動き続け、全身に血液と酸素を届けています。
そのエネルギー源となるのが、ミトコンドリアが生み出すATP(アデノシン三リン酸)です。

心臓がATPを作れなくなると──動悸・息切れ・疲労・冷えなど、私たちの日常生活に支障をきたす症状が現れはじめます。
今回は「心臓とミトコンドリア」の密接な関係と、Mito Risingによるケアの可能性についてお話しします。

 心臓は“ATP依存型臓器”

心臓を動かす心筋細胞は、体内でもトップクラスにミトコンドリアが多い細胞です。
その理由は、絶え間ない拍動のために、膨大なエネルギー(ATP)を必要とするからです。
• ミトコンドリア機能が低下すると → ATP産生が減少
• ATPが不足すると → 拍出力が弱まり、血流低下
• 結果的に → 心不全・冷え・むくみ・全身倦怠感が出やすくなる

特に加齢とともにミトコンドリアの数や働きが落ち、“心臓のエネルギー不足”による虚弱化が進行します。

 ナイアシン/NMN・CoQ10・5-ALAが支える“心のMito Rising”

ミトコンドリアの働きを支える栄養素や補酵素は、心筋細胞のエネルギー生産をサポートする鍵です。

 ナイアシン/NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)

→ NAD⁺というエネルギー通貨を構成し、ATP生成に不可欠。加齢で不足しがち。

 CoQ10(コエンザイムQ10)

→ 電子伝達系での“スイッチ役”。心不全患者では血中濃度が低下していることも多く、エビデンスに基づくサプリメントとして注目されています。

 5-ALA(5-アミノレブリン酸)

→ ヘム(鉄含有色素)を介してミトコンドリアの電子伝達を促進。心筋細胞の酸素利用効率を改善します。

これらは「Mito Rising」において、心臓に優しい代謝支援三銃士といえる存在です。

 有酸素運動+休息=心臓ミトコンドリアの最強サイクル

心臓のミトコンドリアを元気に保つには、負荷の少ない有酸素運動と質の良い休息が欠かせません。

 推奨される運動
• 速歩き(15〜30分/日)
• 軽いジョギング
• エアロバイクや水中ウォーキング

運動によりPGC-1αという遺伝子が活性化され、新しいミトコンドリアの産生が促されます。

 睡眠と副交感神経
• 寝ている間にミトコンドリアの修復・再生が行われる
• 深い睡眠はATP回復のゴールデンタイム
• ストレスや睡眠不足はミトコンドリア機能の大敵

つまり、動かす×休める=ミトコンドリア再生の黄金法則なのです。

まとめ──“心が元気”は“ミトコンドリアが元気”

高血圧、動悸、息切れ、冷え…それは「心のポンプ力」が弱まっているサインかもしれません。
その背景にあるのは、ATP不足=ミトコンドリアの衰え。
Mito Risingを取り入れることで、心臓の働きそのものを根本から支え直すことができるのです。

次回【第5回】は、
「更年期・月経不調・PMS──ミトコンドリアが整えばホルモンも整う」をお届けします。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。