「リチウム ― 神経ネットワークを守るミトコンドリアの盾」
リチウムとミトコンドリア・神経保護の関係
① ミトコンドリア機能の維持
- リチウムはミトコンドリアの膜電位(ΔΨm)を安定化し、細胞のエネルギー代謝をサポート。
- ATP産生を改善することにより、神経細胞の活動性や生存率を向上。
- カルシウム恒常性の維持:リチウムは細胞内Ca²⁺の過剰な蓄積を抑制し、ミトコンドリアストレスを軽減。
② 活性酸素(ROS)抑制・抗酸化作用
- リチウムはミトコンドリア由来のROS産生を抑制し、酸化ストレスによる細胞障害を予防。
- 抗酸化酵素(SOD, catalaseなど)の発現を高めるという報告も。
③ オートファジー・ミトファジー促進
- リチウムはオートファジー(細胞内の老廃物除去)を促進することで、ミトコンドリアの質的コントロール(ミトファジー)にも貢献。
- この作用はGSK-3β(glycogen synthase kinase-3 beta)阻害を介して実現されることが多い。
④ 神経保護・再生促進
- GSK-3β阻害により、神経成長因子(BDNF)やCREB経路を活性化し、神経可塑性やシナプス形成を促進。
- 神経変性疾患(例:アルツハイマー、パーキンソン病、ALSなど)のモデルでも、神経細胞死の抑制と記憶力の改善が報告されている。
代表的な文献例(PubMedより)
主題 研究内容 引用例
ミトコンドリア機能 リチウムが神経細胞のミトコンドリア呼吸を改善 PMID: 27835642
GSK-3β阻害 アルツハイマー病モデルでの神経保護 PMID: 18442014
オートファジー促進 リチウムによる自食作用の調整 PMID: 22200943
抗酸化効果 リチウムがROS生成を減少 PMID: 20347542
臨床応用の可能性
- アルツハイマー病や認知症に対する予防的介入(低用量リチウム)
- NMNや5-ALAとの併用によるミトコンドリア戦略の相乗効果も今後の検討課題
今後の展望(Dr. Shiggekkyの統合戦略において)
リチウムの役割 統合医療との接点
神経保護 アンチエイジング3本の矢®との補完
ミトコンドリア活性 5-ALA、NMNとの併用研究
低用量での安全性 自由診療・未病介入への応用