Director's blog
院長日記

第4節|治療から予防へ:実装シナリオ ― “ミトコンドリアトリオ戦略”の社会実装モデル ―

「病気になってから」では、もう遅い

これまで見てきたように、NMN・5-ALA・リチウムはそれぞれ異なる軸で

ミトコンドリアの健康を守る柱として機能します。

重要なのは、これらの分子が病気の“治療”だけでなく、“発症予防”や“未病の改善”にも役立つという点です。

実際、認知症やうつ病、慢性疲労症候群の患者に共通するのは、発症以前からのミトコンドリア機能の持続的低下です。

だからこそ今、求められているのは──

「ミトコンドリアから予防する医療」へのシフト なのです。

 

 医療現場での応用モデル(自由診療の設計) 

Step 1|測定

  • エピゲノム年齢(例:Epigenetic Clock)
  • ATP測定(唾液・血液)
  • 脳機能スクリーニング(脳年齢・脳疲労度・ストレス指標)

Step 2|介入

  • NMN+5-ALA+リチウムの3剤設計(用量・タイミングを個別最適化)
  • 水素吸入や低糖質食などとの複合プログラム化

Step 3|再評価

  • 3か月後に生物学的指標の再測定+自覚症状・QOLの変化をフィードバック
  • 必要に応じて構成の調整・栄養指導・運動療法へ拡張

このような「測定 → 介入 → 再評価」のサイクル型予防医療こそが、次世代の自由診療の核になります。

 

 日常生活への落とし込み(セルフケアモデル)

治療の枠を超え、セルフケアの領域でもミトコンドリアトリオは活躍できます。

以下は、年代別・目的別の簡易モデルです。 

 40代・認知疲労を感じ始めた層

  • 朝:NMN(250〜300mg)
  • 昼食後:5-ALA(50mg)+ビタミンB群
  • 夜:リチウム微量(天然ミネラル水など)+入浴+音楽(副交感神経刺激)

 60代以上・予防目的の継続介入

  • 定期的なエピゲノム測定
  • 食事療法+ミトコンドリア栄養素の併用
  • 運動+光刺激+呼吸法を含めた包括的ミト活プログラムへ

 

 医療とテクノロジーの連携による進化

将来的には、オンライン診療・ウェアラブルデバイス・LINE連携などを組み合わせて、

患者自身が自分の状態を“見える化”しながら、

専門医の伴走サポートのもとで個別最適化された介入を受ける時代が訪れるでしょう。

これはまさに、「自己決定型の医療」×「科学的セルフケア」の融合です。

 

 社会実装の未来:認知症予防から教育・保険へ
  • 高齢者施設や地域包括支援センターでの集団介入モデル
  • 学校教育での「脳とエネルギー教育」への応用
  • 健康保険外サービスの拡張と、企業向けウェルビーイング支援ツールへの展開

こうした多層的な社会実装によって、ミトコンドリアトリオは単なる“サプリ”から“医療×社会×自己成長”を支える 包括的プラットフォームへと進化する可能性を秘めています。

 

 次節への導入 次の第5節では、この“予防医療の未来像”をさらに広げ、 デジタルヘルス、エピゲノム医療、国家レベルの認知症対策などとの接点を探ります。 「ミトコンドリアからはじまる未来医療」が、いまどこまで来ているのかを見ていきましょう。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。