C-PAP(持続陽圧呼吸療法)を導入・運用するクリニックにとっての損益分岐点(break-even point)
- 収益構造(保険診療収入)
C-PAPは睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者に対して行われる在宅管理料が主な収益源です。
【主な保険点数(2025年時点概算)】
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区分 |
点数 |
月額(1点=10円換算) |
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在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料 |
約2,000点 |
約20,000円/月 |
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検査料(簡易ポリグラフなど) |
300〜700点 |
約3,000〜7,000円(初期のみ) |
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初診・再診料・外来管理加算 |
約500〜700点 |
約5,000〜7,000円 |
1人あたり月2万円前後の継続収入が見込まれます。
- 費用構造(コスト)
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区分 |
概算費用(1人あたり/月) |
備考 |
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C-PAP機器リース料 |
約3,000〜4,000円 |
Philips、ResMedなど |
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消耗品(チューブ・マスク) |
約500〜1,000円 |
定期交換あり |
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技師・スタッフ管理人件費 |
約1,000〜2,000円 |
データ管理・指導 |
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医師診察コスト |
約1,000円 |
月1回フォローアップ |
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その他経費(電気・システム等) |
約500円 |
通信、電カル連携等 |
合計で 月5,000〜8,000円程度 のコスト。
- 損益分岐点の試算
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患者数 |
売上(@20,000円) |
原価(@7,000円) |
粗利 |
備考 |
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10人 |
200,000円 |
70,000円 |
130,000円 |
小規模導入 |
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30人 |
600,000円 |
210,000円 |
390,000円 |
安定運用開始 |
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50人 |
1,000,000円 |
350,000円 |
650,000円 |
損益分岐点を超える |
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100人 |
2,000,000円 |
700,000円 |
1,300,000円 |
利益化が明確に |
おおよそ40〜50人規模で損益分岐点を超えるのが一般的です。
この規模になると、スタッフ人件費・機器リース料を十分にカバーできます。
- 経営上の戦略的ポイント
- 固定費を抑えることが鍵:
→ 技師のパート活用、遠隔モニタリングシステム(ResMed AirView等)導入で効率化。 - 紹介ルートの確立:
→ 耳鼻科・健診センター・企業健診からのSAS疑い紹介が重要。 - リコール・継続率管理:
→ 1人当たりの平均継続期間が2〜3年あるため、離脱防止が利益率を高める。
- まとめ
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指標 |
目安 |
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損益分岐点患者数 |
約40〜50人 |
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月間利益化ライン |
約60人以上 |
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収益モデル |
継続型(月額サブスクリプションに近い) |
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成功の鍵 |
継続率・紹介ルート・人件費圧縮 |

