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院長日記

第4の栄養カテゴリー ― 健康寿命を延ばすための“新しい栄養の考え方”

武本 重毅

はじめに:いま、栄養学は「第4のステージ」へ

私たちの身体は、食べたものからつくられています。
「栄養」と聞くと、多くの方は たんぱく質・脂質・炭水化物、そしてビタミン・ミネラル といった従来の分類を思い浮かべるでしょう。

たしかに、これらは生命維持のために欠かすことのできない基本です。しかし——

寿命が延び、100年時代を生きる私たちにとって、本当に必要な栄養はそれだけで足りるのでしょうか?

この問いに対する新しい答えこそが、当院が提唱する

「第4の栄養カテゴリー:機能性長寿因子」(Functional Longevity Factors)

です。

これは、単なる“栄養の追加”ではなく、これからの時代に必須となる 健康寿命延伸のための新しい健康戦略 です。

  1. 従来の栄養学には「限界」が見えてきた

従来の栄養分類は以下の3つに整理されます:

  1. 主要栄養素(三大栄養素:タンパク質・脂質・炭水化物)
  2. 微量栄養素(ビタミン・ミネラル)

しかし、この伝統的な枠組みには、次のような課題があります。

 ①「生命維持」はできても、「老化による機能低下」を防げない

ビタミン欠乏症は防げても、
老化して疲れやすい”“回復しない” “代謝が落ちる” といった現代の悩みは解決できません。

 ② ミトコンドリア機能低下には対応できない

年齢とともに低下するのは
筋肉量ではなく、細胞そのもののエネルギー工場「ミトコンドリア」
です。この衰えが「疲れ」「病気」「老化」へつながります。

 ③ 酸化ストレス・慢性炎症という現代病に弱い

特にヒドロキシラジカル(OH•)のような“悪玉活性酸素のラスボス”は、
ビタミンCやEなどの抗酸化物質でも中和できないことが知られています。

現代の「長く生きる」時代には、これまでの栄養学だけでは不十分なのです。

  1. そこで生まれた新しい概念

第4の栄養カテゴリー:機能性長寿因子(FLF)

  • 定義

生命維持だけでなく、細胞レベルの修復・老化抑制・エネルギー産生改善を担う成分群。

従来の「欠乏症を防ぐ栄養」ではなく、
細胞を若く保ち、健康寿命を延ばすための栄養”
という位置づけです。

  • 3つの作用軸

第4カテゴリーに含まれる成分は次の3軸で働きます:

  1. ミトコンドリア機能の維持・再生
  2. 細胞修復とDNA保護
  3. 酸化ストレス・慢性炎症の制御

これらは、まさに「老化の根本原因」に直結しており、
従来の栄養では補いきれなかった新しい領域です。

 

  1. Dr. Shiggekkyが提唱する

機能性長寿因子の代表例「アンチエイジング3本の矢®

(NMN・5-ALA・水素)

当院が科学的根拠に基づき位置づけているのは、次の3つです。

 

① NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)

役割:NAD⁺を増やし、ミトコンドリアとDNA修復を活性化

  • NAD⁺は加齢で急激に減少
  • サーチュイン遺伝子を活性化し“細胞の修理”を促進
  • 代謝改善、疲労軽減などの臨床研究も進行中

NMN=細胞の“修理工場”を再稼働させるスイッチ

 

② 5-ALA(5-アミノレブリン酸リン酸塩)

役割:ヘム合成を促進し、ミトコンドリアの電子伝達系を強化

  • エネルギー産生の中心・複合体IVを活性化
  • 代謝改善、免疫調整、抗炎症作用
  • 日本発の安全性が高い成分として研究多数

5-ALA=細胞の“発電所の火力”を上げる燃料

 

水素(H₂)

役割:ヒドロキシラジカル(OH•)を選択的に無害化

  • 最強の悪玉活性酸素だけをピンポイントで除去
  • 細胞膜・血液脳関門を通過し、炎症も抑制
  • 副作用なしで使える数少ない抗酸化分子

水素=暴れる活性酸素を鎮める“消防隊”

3つが揃うと、細胞は“若さを取り戻し始める”

3つの成分は互いを補い合う構造になっています。

  • NMN:修理
  • 5-ALA:発電強化
  • 水素:防御

つまり、

「修復」+「エネルギー」+「防御」の三位一体
=老化の根本原因に対抗する最小かつ最強のモデル

これが、武本重毅博士が提唱する アンチエイジング3本の矢® です。

  1. なぜ今「第4の栄養カテゴリー」が必要なのか?

現代日本は世界でも類を見ない超高齢社会です。

平均寿命は伸びても、
健康寿命(元気に自立して過ごせる期間)はまだ十分に延びていません。

その理由は、

  • 慢性的なミトコンドリア機能低下
  • 酸化ストレス
  • 低炎症だけが長期に続く“静かな炎症”
  • 代謝の低下
  • 回復力の弱まり

といった“細胞レベルの老化”にあります。

これらは食生活だけでは完全には補えません。
特に近年、「つくらない・つどわない・しゃべらない」といった新しい食習慣の広がりは、
栄養の偏りやコミュニケーション不足を加速させ、
より老化のリスクを高めています。

  1. 自己決定型医療と第4カテゴリー

「自分の健康を、自分で設計する時代へ」

当院の理念である 「自己決定型医療」 と、第4カテゴリーは非常に相性が良い考え方です。

  • 病気になってから病院に行く時代から
  • 自分の体質を理解し、
  • 未来の健康を先に選び取る時代へ

自由診療は、この“未来の健康”を支える重要な手段となります。

  • 健康寿命を延ばすのは「自分で選ぶ力」

第4カテゴリーは、単にサプリを足すという話ではありません。

どのように歳を重ねたいか” を自分で選ぶための科学的な選択肢

それが、機能性長寿因子の本質です。

  1. 第4の栄養カテゴリーは「健康常識」を変えていく

これからの医療に必要なのは

  • 食事
  • 運動
  • 睡眠
  • メンタルケア

に加えて、

「細胞レベルの栄養戦略」

です。

ミトコンドリア・DNA・酸化ストレスへの対策は、
これまでの栄養学ではカバーできなかった領域。

第4の栄養カテゴリーは、
この“補えなかった空白”を埋める新しい栄養学です。

 

結び

「第4の栄養カテゴリー」は、これからの健康寿命戦略の中心になる

  • 老化の根本原因に働きかけ
  • 細胞の若さを取り戻し
  • ミトコンドリアを再生し
  • 人生の後半をより豊かにする

そのための新しい栄養軸が、

第4の栄養カテゴリー:機能性長寿因子

です。

当院はこの分野の研究・臨床に基づき、
個々の体質に合わせた「未来型の健康づくり」をサポートしていきます。

老化のスピードを自分で選べる時代へ。”
その第一歩として、この新しい栄養カテゴリーをぜひ知っていただければと思います。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。