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院長日記

水素のはたらき ― アンチエイジング3本の矢®の第三の矢として

武本 重毅

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  1. 水素は「宇宙で最も小さな抗酸化分子」

水素(H₂)は、宇宙で最も軽く・小さな分子です。
この小ささこそが、水素が体内のあらゆる細胞やミトコンドリアの奥深くまで届く力の源です。

他の抗酸化物質(ビタミンC、ポリフェノールなど)は分子が大きく、細胞膜を通り抜けにくいですが、
水素は脂質膜もミトコンドリア膜も自由に通過します。

結果:脳・神経・心臓・精巣・腎臓など、酸化ストレスに弱い臓器を直接保護できます。

  1. 水素が中和するのは「悪玉」だけ

活性酸素(ROS:Reactive Oxygen Species)は2種類に分かれます。

  • 善玉ROS:免疫防御やシグナル伝達に必要(例:H₂O₂)
  • 悪玉ROS:細胞やDNAを傷つける(例:ヒドロキシルラジカル・•OH)

水素は、驚くべきことにこの「悪玉ROS(•OH)」だけを選択的に中和します。

反応式:

  • OH + H₂ → 2H₂O

つまり、水素は副産物として「水」しか残さない、
最もクリーンな抗酸化反応を行う分子です。

  1. ミトコンドリア機能の保護とNAD⁺サイクルの維持

酸化ストレスは、ミトコンドリアの電子伝達系を障害し、
ATP産生の低下、NAD⁺/NADHバランスの破綻を引き起こします。

水素吸入・水素水などで水素を取り込むと:

  • 電子伝達系が安定化し、ATP生成効率が向上
  • NADH酸化が促進され、NAD⁺サイクルが再起動
  • ミトコンドリアDNAの損傷が軽減

→ 結果として、細胞の「エネルギー再生能力」と「修復力」が上がります。

  1. 炎症・免疫・神経への広範な効果

最新研究では、水素が以下のような多面的作用を持つことが報告されています:

領域

主な作用

脳・神経

神経炎症抑制、ドーパミン神経保護(パーキンソン病モデル)

心血管

虚血再灌流障害の軽減、血管内皮機能改善

免疫

マクロファージ活性の正常化、慢性炎症の沈静化

筋肉・代謝

運動疲労軽減、乳酸蓄積の抑制

がん医療

放射線・抗がん剤による副作用の軽減(正常細胞保護)

  1. アンチエイジング3本の矢®における水素の位置づけ

Dr. Shiggekkyが提唱する「アンチエイジング3本の矢®は、
細胞を「燃やす・点火する・守る」の三位一体構造で成り立ちます。

成分

主な役割

機能の象徴

NMN

NAD⁺を増やし、エネルギー生成を促す

燃料

5-ALAリン酸塩

ヘム合成を通じて電子伝達を点火

点火プラグ

水素(H₂)

活性酸素を除去し、細胞を守る

クリーンフィルター

→ 水素は、エネルギーシステム全体の「最終防衛線」
ミトコンドリアを酸化ストレスから守り、「若さの火」を消さない役目を担います。

  1. 臨床・応用の形態

投与法

特徴

備考

水素吸入(H₂ガス吸入)

高濃度・即効性、全身到達

Helix Japanなど医療用装置

水素水

日常的補助に最適

安全性高く継続しやすい

生体内生成サポート

腸内細菌・ALA・NMNで間接的促進

ミトコンドリア代謝を通じて内因性H₂産生を支援

 

  1. メッセージ:還元は「生命の記憶」

私たちの身体は、常に酸化と還元のバランスの上で生きています。
水素は、その「還元力=生命の記憶」を取り戻す分子です。

「酸化が奪うのは時間、還元が取り戻すのは光。」
— Dr. Shiggekky

水素は、時間を取り戻す分子
エネルギーと若さの循環を守る、最も静かで、最も深い“矢”なのです。

 

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。