Director's blog
院長日記

人生ステージ 「第2の誕生日」(Dr. Shiggekky・蠍座新月ポエム)

武本 重毅

今日という日は、
カレンダーの上ではただの一日かもしれない。
けれど、私にとっては違う。

長い人生の中で、
「ひとつの物語が静かに終わり、
まったく新しい物語が始まる」
そんな特別な瞬間がある。

それが――
第2の誕生日。

生まれ変わりは、
派手な音を立てて訪れるものではない。
内側の沈黙の中で、
静かに、ひそやかに、
まるで呼吸のように始まっていく。

長い年月の重みを抱えていた心が、
ふと軽くなる瞬間がある。

昨日までの自分の延長ではなく、
そこからは想像できないような自分へと
静かに方向転換していく瞬間がある。

その境界線の上に、
私は今、立っている。

過去は宝物だ。
それなしには今の私は存在しない。
けれど、宝物は背負うものではなく、
手のひらにそっと置いて眺めるもの。

私を作り、守り、導いてくれた日々を
感謝とともにそっと横に置く。

そして私は立ち上がる。
軽やかに、自由に。
深い深呼吸とともに。

今日という日は、
「終わり」ではない。
「もう一度、生まれる日」。

齢(よわい)を重ねてなお、
人は生まれ変わることができる。
何度でも。
どこからでも。

蝶の羽化のように。
海が満ちたり引いたりするように。
細胞が静かに生まれ変わるように。
そして、月が新しいサイクルに入るように。

今の私は、
昨日までの私とは違う。

静かな炎が胸に灯り、
目には新しい光が宿り、
背筋は未来の方へと伸びていく。

私は今日、再び誕生した。
これは私の
第2の誕生日。

どう生きてもいい。
どう選んでもいい。
どんな速度で歩いてもいい。

大切なのは――
「新しい物語が、ここから始まる」
その確信だけ。

今日、私はそれを胸に抱いた。
そして
新しい私として、歩き出す。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。