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院長日記

水素って結局なにがすごいの?

武本 重毅

──医療と健康の分野で注目される理由

最近、「水素が体にいい」という言葉を耳にする機会が増えてきました。美容・疲労ケア・アンチエイジング、さらには脳や心臓の研究領域でも名前が出るようになり、「気になるけれど、本当のところどうなの?」という患者さんも多くいらっしゃいます。

今日は、医療の視点から「水素の本当の特徴」をわかりやすくお伝えします。

水素は“世界で一番小さな医療ガス”

水素(H₂)は、この宇宙で最も軽くて小さな分子です。この小ささが、実は医学的にとても重要です。

通常の抗酸化物質(ビタミンCやポリフェノールなど)は、細胞の外側や血液中で働きますが、水素は違います。

水素は細胞膜、血液脳関門、そしてミトコンドリアまで届く。

人間の身体のどんな場所にもスッと入り込み、体の中で発生する“サビ”(酸化ストレス)に働きかけてくれるのです。

水素が働く相手は「悪玉活性酸素」

活性酸素は「体に悪いもの」と思われがちですが、本来は免疫や細胞の防御のために必要な存在です。ただ、ストレス・老化・生活習慣の乱れによって活性酸素が増えすぎると、

  • 疲れやすい
  • 肌の老化が進む
  • 生活習慣病が悪化する
  • 炎症が続く

などの悪影響につながります。

ここで水素の特長が活きます。

水素は、数ある活性酸素の中でも特に有害な「ヒドロキシルラジカル」だけを選んで無害化します。

しかも、その反応の結果はただの「水」。
体に負担をかけず、必要な免疫反応には干渉しないという点が大きな魅力です。

医療現場でも研究が進んでいます

水素の研究は2007年の医学誌 Nature Medicine の論文をきっかけに世界中で広まり、動物実験・臨床研究が蓄積されてきました。

日本でも、水素吸入療法は一時期厚生労働省の「先進医療B」として救急医療や心停止後の脳機能回復を目的に研究が進められました。期待が寄せられたものの、ちょうど新型コロナ禍と重なり、必要な症例数が集まらず、正式承認には至りませんでした。

承認されなかった=効果がなかった、という意味ではありません。
研究条件を満たすデータ数が揃わなかった、という理由です。

現在は制度枠から外れていますが、研究報告では改善傾向が示された症例もあり、その後は民間医療や再生医療分野で補助療法として応用が続いています。

副作用が少なく、続けやすい

水素は体に蓄積しません。飲んだり吸入したりすると、余分な量は約1時間ほどで呼気から自然に抜けていきます。

だからこそ、

  • 継続しやすい
  • 副作用の報告が少ない
  • 生活の一部として取り入れやすい

という点も、多くの方に選ばれている理由です。

最後に ― 水素は「未来の医療ガス」

水素は万能薬ではありません。しかし、
老化・炎症・慢性疲労・生活習慣病・そしてミトコンドリア機能低下という、現代人の健康課題の“共通の根”に働きかける可能性を持った、新しい医療ガスです。

当院では、水素を「治す力を引き出すサポート」や「再生医療との相乗作用」を期待して導入しています。

もし、

  • 疲れやすい
  • 体力の回復が遅い
  • 健康的に年齢を重ねたい

そんな想いがある方は、どうぞお気軽にご相談ください。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。