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院長日記

アトピー性皮膚炎に関する連載コラム①

武本 重毅

カテゴリー: 

アトピー性皮膚炎に対しては
水素:炎症の鎮静(即効性・対症寄り)
NMN/5-ALA:皮膚・免疫の“基盤体力”を底上げ(体質改善寄り)

👉 役割が異なり、併用することで相乗効果が期待できます。

以下、医学的に整理してご説明します。

水素:炎症を「今」静める治療軸(短〜中期)

これはすでに整理されている通りですが、復習を兼ねて。

水素の主作用

  • ヒドロキシルラジカルなど悪玉活性酸素の選択的除去
  • 炎症性サイトカインの過剰産生抑制
  • 血流改善による皮膚環境のサポート

アトピーにおける位置づけ

  • かゆみ・赤み・熱感など活動性炎症の鎮静
  • 再燃しやすい「炎症スイッチ」を下げる

👉 「火事を消す役」

② NMN:免疫と皮膚の“老化・疲弊”を立て直す

NMN(NAD⁺前駆体)の本質

NMNは単なるサプリではなく、

  • NAD⁺増加
  • → SIRT1/3活性化
  • → ミトコンドリア機能改善
  • → 細胞修復・抗炎症シグナル強化

という細胞レベルの再生経路を動かします。

アトピーとの関係(重要)

アトピー皮膚・免疫では、実は

  • 免疫細胞が慢性的に疲弊
  • 皮膚幹細胞・角化細胞の再生力低下
  • 慢性炎症によるNAD⁺枯渇

が起きています。

NMNはここに対して、

  • T細胞・制御性T細胞(Treg)の代謝安定化
  • 炎症後の皮膚修復力向上
  • 「治ってもすぐ壊れる皮膚」からの脱却

中長期的に支えます。

👉 「免疫と皮膚の体力を回復させる役」

③ 5-ALA:皮膚バリアと免疫の“エネルギー不足”を補う

5-ALAの本質

5-ALAは、

  • ヘム合成の起点
  • → シトクロム
  • → 電子伝達系
  • → ATP産生

という、ミトコンドリアのエンジン部品そのものです。

アトピーに対する独自の強み

アトピーでは、

  • 皮膚バリア形成に必要なATP不足
  • 免疫細胞の代謝破綻
  • 鉄代謝・ヘム代謝の乱れ

が背景にあります。

5-ALAは、

  • 角化細胞のエネルギー供給改善
  • 皮膚バリア再構築の土台強化
  • 免疫細胞の「暴走しにくい代謝状態」への誘導

に寄与します。

👉 「皮膚と免疫のエネルギー源」

④ 3つを並べると、役割がはっきり分かれる

介入

主な役割

アトピーでの意味

水素

炎症・酸化ストレス除去

かゆみ・赤みを鎮める

NMN

NAD⁺回復・修復促進

体質・再生力改善

5-ALA

ATP・ミトコンドリア強化

皮膚バリア・免疫安定

👉 水素だけ
=「火事は消えるが、燃えやすい家のまま」

👉 NMN/5-ALAだけ
=「家は強くなるが、今の火事がつらい」

👉 3つ併用
火を消しながら
  家そのものを燃えにくく建て替える

臨床的に現実的な考え方(重要)

  • 急性増悪期
     → 水素+標準治療が軸
  • 安定期・再燃予防
     → NMN+5-ALAで底上げ
  • 長期管理
     → 3者併用で「戻りにくい状態」へ

これはDr. Shiggekkyが提唱している
「アンチエイジング3本の矢®
アトピーという慢性炎症疾患にも理にかなっていることを示しています。

 

まとめ(医師としての一言)

アトピー性皮膚炎は
「免疫の病気」でもあり
「ミトコンドリアと代謝の病気」でもある。

水素・NMN・5-ALAは
それぞれ違う階層から、
同じ問題を支えている。

 

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。