アトピー性皮膚炎に関する連載コラム③
アトピーは「ミトコンドリアの病気」なのか?
― 皮膚・免疫・炎症をつなぐ“エネルギーの視点” ―
アトピー性皮膚炎は、
長い間「皮膚の炎症」や「アレルギーの病気」として理解されてきました。
しかし近年、医学の世界では
もう一段深いレベルでの共通原因が注目されています。
それが、
ミトコンドリアです。
ミトコンドリアとは何か?
ミトコンドリアは、
細胞の中にある エネルギー工場 です。
- 食べた栄養
- 吸った酸素
を使って、
ATP(エネルギー) を生み出しています。
このエネルギーがなければ、
- 皮膚は作り替えられない
- 免疫は正しく働けない
- 炎症は収束できない
つまり、
健康な皮膚も、落ち着いた免疫も、
すべてはミトコンドリアの働きに支えられている
のです。
アトピーで起きている「見えない異常」
アトピー性皮膚炎の患者さんでは、
皮膚や免疫の現場で次のような状態が起きています。
- 慢性的な炎症
- 活性酸素の増加
- エネルギーの浪費
これは、
ミトコンドリアにとって非常に過酷な環境です。
その結果、
- ATPが十分に作れない
- 活性酸素がさらに増える
- 細胞が疲弊する
という悪循環に陥ります。
なぜ「治っても再発する」のか?
ミトコンドリアが疲れ切った状態では、
- 皮膚は一時的に治っても
- 再生力が弱く
- すぐにバリアが壊れる
また、免疫細胞も
- 本来は「守る」役割なのに
- エネルギー不足で判断力を失い
- 過剰反応を起こしやすくなる
これが、
良くなっても、またぶり返す
アトピーの正体です。
ミトコンドリアが元気だと、何が変わる?
ミトコンドリアの状態が改善すると、
体の反応は大きく変わります。
- 皮膚の場合
- 角化細胞が安定してエネルギーを使える
- バリア機能が保たれやすくなる
- 「治っては壊れる」状態から抜け出す
- 免疫の場合
- 免疫細胞が落ち着いて働く
- 必要な反応と、抑える反応の切り替えが可能に
- アレルギー反応が起こりにくくなる
- 炎症の場合
- 炎症を終わらせるエネルギーが確保される
- 慢性炎症が長引きにくくなる
だから「ミトコンドリアの病気」という新視点
アトピー性皮膚炎は、
- 皮膚の病気
- 免疫の病気
であると同時に、
「ミトコンドリア機能が消耗し続ける病気」
とも言えます。
ここに目を向けない限り、
- 対症療法だけ
- 抑える治療だけ
では、
本当の意味での安定には至りません。
当院が重視していること
当院では、
- 炎症を抑える治療
- 標準的な皮膚治療
を大切にしながら、
同時に、
- ミトコンドリアを守る
- ミトコンドリアを支える
という視点を取り入れています。
水素、NMN、5-ALAなどは、
ミトコンドリアを介して、
皮膚と免疫の「基盤」を支えるアプローチです。
最後に
アトピー性皮膚炎は、
「あなたの体が弱いから」起きている病気ではありません。
むしろ、
頑張りすぎて、
エネルギーが追いつかなくなっている状態
とも言えます。
ミトコンドリアに目を向けることは、
アトピー治療を
責める医療から、支える医療へ
進化させる第一歩です。
✦ 監修
聚楽内科クリニック
院長 武本 重毅
アンチエイジング3本の矢® 提唱者

