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院長日記

アトピー性皮膚炎に関する連載コラム④

武本 重毅

カテゴリー: 

アトピー治療のゴールは

「治す」ではなく
「戻らない」

― これからの時代のアトピーとの向き合い方 ―

アトピー性皮膚炎の治療について、
多くの方がこう願っています。

「いつか完全に治したい」
「もう二度と再発しない体になりたい」

その思いは、とても自然で正直なものです。

しかし現代医学の視点から見ると、
アトピー治療の本当のゴールは、
少し違うところにあります。

「治す」という言葉が苦しくなる理由

アトピーは、

  • 体質
  • 免疫の特性
  • 皮膚バリアの弱さ

と深く関係する、慢性炎症性疾患です。

そのため、

  • 「完全に治るか、治らないか」
    という二択で考えてしまうと、

👉 良くなっても
👉 少し悪化すると

「またダメだった」と
自分を責めてしまいがちです。

これは、
患者さんにとってとてもつらい構図です。

医学が目指すゴールは「寛解」

医療の世界では、
アトピーの理想的な状態を

「寛解(かんかい)」

と呼びます。

寛解とは、

  • 症状がほとんど出ない
  • 出ても軽く、すぐ落ち着く
  • 日常生活に支障がない

という状態です。

そして何より、

「戻りにくい状態」

であることが重要です。

なぜ「戻らない」ことが大切なのか?

アトピーで一番つらいのは、

  • 症状そのもの
  • それ以上に
  • 「また繰り返すかもしれない」という不安

ではないでしょうか。

この不安を減らすには、

  • 炎症を抑えるだけ
  • かゆみを止めるだけ

では不十分です。

「戻らない体」を作る3つの視点

これまでのコラムでお伝えしてきた内容を、
ここで一つにまとめます。

炎症が起きにくい環境をつくる

慢性炎症の背景には、
酸化ストレスや血流不全があります。

これを整えることで、

  • かゆみ
  • 赤み
  • ヒリヒリ感

が起こりにくくなります。

免疫を「落ち着かせる」

アトピーは免疫が弱い病気ではなく、
反応しすぎる病気です。

免疫を抑え込むのではなく、

  • 必要なときに働き
  • 不要なときは静かにする

この切り替えができる状態を目指します。

皮膚を作り直す力を支える

皮膚は毎日生まれ変わっています。

その材料とエネルギーが不足すると、

  • 治ってもすぐ壊れる
  • バリアが保てない

という状態になります。

水素・NMN・5-ALAが果たす役割

当院では、
こうした「戻らない体」を支えるために、

  • 水素
  • NMN
  • 5-ALA

といったアプローチを取り入れています。

これらは、

  • 薬の代わりではなく
  • 魔法の治療でもなく

👉 体の土台を支える“裏方”の存在です。

治療は「人生の質」を守るためにある

アトピー治療の目的は、

  • 数値を良くすること
  • 見た目だけを整えること

ではありません。

  • 夜、ぐっすり眠れる
  • 人目を気にせず外に出られる
  • 「また悪くなるかも」と怯えなくていい

そんな日常を取り戻すことです。

当院からのメッセージ

私たちは、

  • 患者さんを責めません
  • 我慢を強いません
  • 薬だけに頼る医療もしません

アトピーは、

うまく付き合えば、
人生を縛る病気ではありません。

治療のゴールを
「治す」から
「戻らない」へ

そのための選択肢を、
一緒に考えていきましょう。

監修

聚楽内科クリニック
院長 武本 重毅
アンチエイジング3本の矢® 提唱者

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。