Director's blog
院長日記

老化とは何か ― 年齢ではなく、「細胞の状態」で決まる ―

武本 重毅

老化=年を取ること、ではありません

多くの方が
「老化=年齢を重ねること」
だと思っています。

しかし医学的には、老化とは
年齢そのものではなく、細胞の働きが乱れていく過程を指します。

同じ年齢でも

  • 元気に活動できる人
  • 病気が増え、回復力が落ちる人

がいるのは、細胞の状態がまったく違うからです。

最近よく聞く「エピジェネティック・クロック」とは?

近年、血液検査などで
「生物学的年齢」を測る
エピジェネティック・クロック が注目されています。

これは
DNAの文字配列ではなく、
DNAの使われ方(メチル化パターン)から
年齢に近い数値を推定する方法です。

✔ 老化の進み具合を「数値化」できる
✔ 介入の変化を追跡できる

という利点があります。

重要な誤解があります

ここで、とても大切なことがあります。

👉 エピジェネティック・クロックは「原因」ではありません。
👉 あくまで「結果を映す指標」です。

時計の数字が進んだり戻ったりするのは、
その背景で細胞の状態が変化しているからです。

老化の本質は「細胞環境の乱れ」

老化の中心にあるのは、次のような変化です。

  • ミトコンドリアのエネルギー低下
  • 活性酸素による酸化ストレスの増加
  • 免疫細胞・幹細胞の機能低下
  • DNAやエピゲノムを維持する力の低下

これらが重なることで、
DNAの使われ方が乱れ、
結果として老化のサイン(エピクロックの変化)が現れます

私たちの考え方

当院では、こう考えています。

時計を若返らせるのではありません。
細胞を整えた結果、時計が戻るのです。

数値だけを追いかけるのではなく、
その数字を生み出している「細胞の環境」に目を向けます。

老化は「設計し直せる」時代へ

老化は避けられない運命ではなく、
調整できる生理現象です。

  • エネルギー産生
  • 酸化と還元のバランス
  • 免疫と修復力

これらを整えることで、
老化の進み方そのものを穏やかにすることが可能になってきました。

当院が目指す老化医療

私たちの目標は
「年齢を否定すること」ではありません。

年齢を重ねても、
その人らしく生きられる細胞状態を守ること。

それが、当院の考える
老化と向き合う医療”です。

老化は、数字ではなく「細胞の物語」で決まる。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。