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院長日記

【第2回】 本来、毛根は「免疫から守られている」 ― それでも攻撃されてしまう理由 ―

武本 重毅

カテゴリー: 

前回、円形脱毛症

「免疫の病気」である前に、毛根の細胞が弱ってしまう状態が先にあるのではないか、というお話をしました。

今回は、その前提となる大切な事実から始めます。

実は――

毛根は、もともと免疫から“守られている場所”なのです。

私たちの体の中には、

免疫があえて入り込まない特別な領域があります。

これを「免疫特権」と呼びます。

毛根(特に髪を作る根元の部分)は、

  • 免疫に見つかりにくい

  • 炎症が起きにくい

  • 外からの刺激に比較的強い

という、とても大切に保護された組織です。

これは、髪の成長を安定して続けるために必要な仕組みです。

では、なぜ円形脱毛症では、

この“守られているはずの毛根”が

突然、免疫の標的になってしまうのでしょうか?

近年の研究から分かってきたのは、

免疫が突然強くなったのではなく、

毛根の側が「見つかりやすい状態」に変わってしまう


という可能性です。

強いストレス、睡眠不足、体調不良、慢性的な疲労――

こうした状態が続くと、

毛根の細胞の中でエネルギー不足やダメージが起こりやすくなります。

すると、

本来は静かに働いているはずの細胞が

「異常が起きています」というサインを出してしまいます。

免疫は、そのサインを

「危険が起きている」と誤解し、

結果として毛根の周囲に集まってきます。

つまり、

円形脱毛症は

免疫が“攻撃的になった”病気というより、

毛根が“守られなくなった”状態


と考えることができるのです。

次回は、

なぜストレスがこれほど強く影響するのか

そして

毛根の細胞の中で何が起きているのかを、

もう一歩踏み込んで解説します。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。