「糖尿病=ミトコンドリア病」連載 第1回 ― なぜ“血糖を下げるだけ”では足りないのか
糖尿病は、長いあいだ
「血糖値が高くなる病気」として説明されてきました。
そのため治療の目的も、
- 血糖値を下げる
- 食事量を減らす
- 余分な糖を体の外に出す
といった方向に集約されてきました。
これらは間違いではありません。実際、多くの患者さんを救ってきました。
しかし近年、医療現場ではこんな“違和感”が共有されるようになっています。
血糖値は改善している。
けれど、患者さんは元気になっていない。
疲れやすい、体力が戻らない、
以前より老けた感じがする、回復実感が乏しい――
こうした声は決して珍しくありません。
この違和感を説明する鍵が、
ミトコンドリアです。
■ ミトコンドリアとは何か
ミトコンドリアは、細胞の中にある
エネルギーを生み出す装置です。
人は生きるために、
- 筋肉を動かす
- 脳で考える
- 体温を保つ
- 血糖や脂肪を処理する
といった活動を絶えず行っています。
そのエネルギーのほぼすべてを担っているのが、ミトコンドリアです。
つまり――
ミトコンドリアが元気でなければ、体は元気になれない。
これはとても単純で、しかし見落とされがちな事実です。
■ 糖尿病を「エネルギーの病気」として見る
糖尿病をミトコンドリアの視点で見ると、
まったく違う風景が見えてきます。
血糖値が高い状態とは、
「糖が多すぎる」というよりも、
糖をエネルギーとして使いきれなくなった状態
と考えることができます。
インスリンがあっても、
細胞側のミトコンドリアが十分に働いていなければ、
糖はうまく処理されません。
その結果として、
- 血糖が上がる
- 脂肪として蓄積される
- 慢性的な炎症が起こる
といった現象が連鎖的に起こります。
血糖値は、
原因ではなく「結果」として現れているにすぎないのです。
■ なぜ「数値は良いのに、つらい」のか
血糖値を下げる治療は、
例えるなら「渋滞している道路の交通整理」に似ています。
確かに、車の流れは一時的に改善します。
しかし、道路そのものが傷んでいれば、
渋滞は何度でも繰り返されます。
この“道路”にあたるのが、
ミトコンドリアによるエネルギー処理能力です。
ここが回復していない限り、
数値が良くても、体は本当の意味で楽になりません。
■ 連載で伝えていきたいこと
この連載では、
糖尿病を
「血糖の病気」ではなく
「ミトコンドリアの病気」
として捉え直します。
次回以降は、
- なぜミトコンドリアが弱るのか
- なぜ年齢とともに糖尿病が増えるのか
- 既存治療薬はミトコンドリアとどう関係するのか
- ミトコンドリアを整えるとはどういうことか
を、専門用語をできるだけ使わずに解説していきます。
糖尿病治療は、
「我慢する医療」から
「身体の力を取り戻す医療」へ。
その地図を、ここから一緒に読み解いていきましょう。
▶ 次回予告(第2回)
「インスリン抵抗性の正体
― なぜ細胞は“受け取れなくなる”のか」

