「糖尿病=ミトコンドリア病」連載 第2回 ― インスリン抵抗性の正体 なぜ細胞は“受け取れなくなる”のか
糖尿病の説明で、必ず出てくる言葉があります。
「インスリン抵抗性」です。
一般には、
「インスリンが効きにくくなる状態」
と説明されます。
しかし、ここで一つ疑問が生まれます。
インスリンはちゃんと出ているのに、
なぜ細胞は“反応しなくなる”のでしょうか。
その答えは、
受容体やホルモンの問題だけではありません。
細胞の中のエネルギー状態にあります。
■ インスリンは「命令」ではなく「許可」
インスリンはよく、
「血糖を下げるホルモン」と説明されます。
しかし、もう少し正確に言うと、
インスリンは――
「エネルギーを使っていいですよ」
という“許可シグナル”
です。
糖(ブドウ糖)は、
細胞にとっては燃料です。
ところが、
ミトコンドリアが弱っている細胞にとって、
燃料は必ずしも“ありがたいもの”ではありません。
■ ミトコンドリアが弱ると、何が起きるか
ミトコンドリアの働きが低下すると、
- エネルギーをうまく作れない
- 脂肪酸が途中で詰まる
- 活性酸素が増えやすくなる
といった状態が起こります。
このとき細胞は、
これ以上エネルギー基質が流れ込むと
かえって危険だと判断します。
その結果、
インスリンの「許可」を
あえて受け取らなくなる
これが、
インスリン抵抗性の本質です。
つまり細胞は、
怠けているのでも、壊れているのでもなく、
自分を守るために“拒否”しているのです。
■ なぜ脂肪・炎症・高血糖がつながるのか
ミトコンドリアが回らない状態では、
- 糖は使われずに血中に残る
- 脂肪として蓄積される
- 脂肪由来の炎症シグナルが増える
という悪循環が生まれます。
ここで重要なのは、
炎症が原因でインスリン抵抗性になるのではなく、
ミトコンドリア不全が、炎症と抵抗性の両方を生む
という点です。
血糖値・脂肪・炎症は、
すべて同じ根っこから枝分かれしている現象なのです。
■ なぜ薬を増やしても苦しくなることがあるのか
インスリンを増やしたり、
血糖を無理に下げたりすると、
数値は一時的に改善します。
しかし、
ミトコンドリアが回らないまま
「使えない燃料」を押し込めば、
- だるさ
- 低血糖様症状
- 体重増加
- 易疲労感
が起こりやすくなります。
これは治療の失敗ではなく、
順番の問題です。
■ 本当に必要なのは「受け取れる細胞」をつくること
インスリン抵抗性を改善するとは、
- インスリンを増やすことでも
- 無理に血糖を下げることでもなく
細胞が「受け取っても大丈夫」な
エネルギー状態に戻ること
です。
その中心にあるのが、
ミトコンドリアの回復です。
■ 第2回のまとめ
- インスリン抵抗性は
細胞の防御反応 - 原因はホルモン不足ではなく
ミトコンドリア不全 - 治療の本質は
「押し込む」ことではなく
「受け取れる状態を作る」こと
▶ 次回予告(第3回)
「なぜ年齢とともに糖尿病が増えるのか
― 老化とミトコンドリアの深い関係」
(老化・疲労・糖尿病が一本でつながります)

