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院長日記

「糖尿病=ミトコンドリア病」連載 第6回 ― 薬は敵ではない ミトコンドリアから見た「薬の本当の役割」

武本 重毅

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「ミトコンドリアが大事なのは分かった。
でも、薬はどうなるのですか?」

これは、とても自然な疑問です。
結論から言えば――

薬は敵ではありません。
ただし“主役”でもありません。

ミトコンドリア医学の視点では、
薬の役割が少し違って見えてきます。

■ 薬は「押し込む力」ではなく「支える力」

従来、薬は
「血糖を下げる力」
として語られてきました。

しかしミトコンドリアの視点では、
薬はこう捉え直すことができます。

  • 体が処理しきれない負荷を減らす
  • エネルギーの無駄遣いを防ぐ
  • ミトコンドリアが回る“余地”をつくる

つまり薬は、
前に進ませるエンジンではなく、
転ばないように支える補助輪なのです。

■ 食欲を抑える薬の本当の意味

食欲を抑える薬は、
「食べる量を減らす薬」
と思われがちです。

しかし実際には、
ミトコンドリアの過労を防ぐ役割
を担っています。

処理能力が落ちているときに
大量の燃料が流れ込めば、
エネルギー工場はさらに疲弊します。

食欲を静めることは、
「我慢」ではなく
回復のための減速なのです。

■ 余分な糖を外に出す薬の意味

糖を体の外に出す薬は、
「もったいない」と感じられることもあります。

しかしミトコンドリアの視点では、
これは安全弁です。

処理しきれない糖が
体内にあふれ続けるより、
一部を外に逃がすことで
全体の負荷を下げる。

それにより、
ミトコンドリアは
再び回り始める余地を得ます。

■ インスリンは「最後の悪者」ではない

インスリン治療に対して、
抵抗感を持つ方は少なくありません。

しかしインスリンは、
体を壊すホルモンではありません。

問題は、
ミトコンドリアが回らない状態で
大量に使われること
です。

順番が整い、
エネルギーを使える体になった上で使うインスリンは、
身体にとってとても生理的な支援になります。

■ なぜ「順番」がすべてなのか

同じ薬でも、

  • ミトコンドリアが疲弊した状態
  • ミトコンドリアが回り始めた状態

では、
効き方も、つらさも、結果もまったく違います。

薬が効かないのではなく、
受け取る準備が整っていない
だけのことも多いのです。

■ 薬を“減らす”のがゴールではない

ミトコンドリア医学のゴールは、
薬をやめることではありません。

必要な薬を、
必要な量で、
無理なく使える体になること

それが結果として
減薬につながることはありますが、
それは目的ではなく“結果”です。

■ 第6回のまとめ

  • 薬は
    ミトコンドリアを助ける補助輪
  • 抑える薬は
    過労を防ぐブレーキ
  • 捨てる薬は
    安全弁
  • インスリンは
    順番次第で味方になる
  • 問題は薬ではなく
    使われるタイミング

▶ 次回予告(第7回・最終回)

「糖尿病治療のゴールが変わる
― 数値から“生き方”へ」

血糖値の先にある、
本当の健康とは何か。
この連載の総まとめをお届けします。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。