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院長日記

免疫療法が効かない理由【第3回】 ミトコンドリアを守るという新しいがん免疫戦略 ― アンチエイジング三本の矢Ⓡが示す未来 ―

武本 重毅
ここまでで何がわかったのか

これまでの2回で、次の事実が明らかになりました。

  • 免疫療法が効かない患者さんでは
    免疫細胞のミトコンドリアが壊れている(第1回)
  • がん細胞は
    免疫細胞からミトコンドリアを奪い、免疫を無力化していた(第2回)

つまり、問題の本質は
「免疫をどう刺激するか」ではなく
「免疫が戦える土台が残っているか」

にあったのです。

免疫療法は「ブレーキ解除」にすぎない

現在の免疫療法(免疫チェックポイント阻害薬)は、

  • 免疫細胞にかかっている
    ブレーキを外す治療
    です。

しかし、

  • エンジン(ミトコンドリア)が壊れている
  • 燃料も発電所も奪われている

この状態でブレーキだけ外しても、
免疫細胞は前に進めません。

👉 アクセルそのものが存在しないからです。

ここで視点を変える必要があります

これからのがん免疫医療で問われるのは、

どうやって免疫細胞を“守るか”

という視点です。

  • 奪われない
  • 壊されない
  • 疲弊しない

その中心にあるのが
ミトコンドリアです。

ミトコンドリアは「免疫の司令塔」

最新研究は、ミトコンドリアが

  • エネルギー産生装置
    にとどまらず、
  • 免疫シグナルの制御
  • インターフェロン経路の調整
  • 免疫細胞の運命決定

を担う 免疫の司令塔 であることを示しています。

がんはここを狙いました。
だからこそ、私たちも
ここを守る必要があるのです。

アンチエイジング三本の矢Ⓡという答え

当院が提唱する
アンチエイジング三本の矢Ⓡは、
このミトコンドリア中心戦略に完全に一致します。

① NMN ― 免疫細胞の「燃料補給」

NMNは体内で NAD⁺ に変換され、

  • ミトコンドリアの稼働力を維持
  • 免疫細胞の持久力を回復

します。

これは、

🔋 電池切れ寸前の免疫細胞に
再び電力を供給する

イメージです。

② 5-ALA ― 発電所そのものを修復

5-ALAは、

  • 電子伝達系
  • ヘム代謝

を通じて、
ミトコンドリアの構造と秩序を整える働きをします。

がんに操作されにくい、
強く・しなやかな免疫細胞を支えます。

③ 水素吸入 ― ミトコンドリアを傷から守る

がん周囲では、

  • 有害な活性酸素(ROS)が大量発生
  • ミトコンドリアDNAが傷つく

という事態が起こります。

水素は、

  • 有害なROSだけを選択的に除去
  • 必要なシグナルは残す

という特徴を持ち、
免疫細胞の誤作動と疲弊を防ぐ調律役となります。

三本の矢が意味するもの

三本の矢は、

  • がんを直接叩く治療
    ではありません。

しかし、

  • 免疫細胞が奪われない環境をつくる
  • 免疫が本来の力を発揮できる土台を守る

という点で、
これからのがん免疫医療に不可欠な
基盤戦略です。

患者さんへ

がん治療は、
「強い薬で叩く時代」から
「体の内側を整え、戦える状態を保つ時代」へ
移りつつあります。

免疫は、
守れば、応えてくれます。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。