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院長日記

Long COVIDの症状が長く続く理由

武本 重毅

カテゴリー: 

― なぜ“感染は終わったのに”回復しきらないのか ―


① ウイルスは消えても「炎症の設計図」が残る

Long COVID(PASC)は、急性期の感染が終わった後も

  • 倦怠感

  • ブレインフォグ

  • 動悸・息切れ

  • 睡眠障害

  • 自律神経症状

が長く続く状態です。

重要なのは、

ウイルスそのものよりも、“炎症が固定化する構造”が残ること

です。


② 血管の微小炎症が「流れ」を乱す

感染後、一部の人では

  • 内皮細胞(血管の内側)が活性化

  • 微小血栓(microthrombi)

  • 血小板・好中球の相互作用

  • NETs形成(炎症の足場)

が残存します。

これにより起こるのが

🔁 微小循環障害

血液は流れているのに、

“必要な場所に十分な酸素が届かない”状態になります。


③ 酸素不足はミトコンドリアを疲弊させる

酸素供給が不安定になると、

  • 電子伝達系ストレス

  • 活性酸素(ROS)増加

  • ATP低下

  • mtDAMPs放出

が起こります。

これは単なる“エネルギー不足”ではありません。

🔥 ミトコンドリア疲労 → 炎症再点火

というループが始まります。


④ なぜ「長く続く」のか?

ここが核心です。

🔁 2つの自己増幅ループ

① 血管ループ
内皮炎症 → 微小血栓 → 低酸素 → さらに内皮炎症

② 細胞ループ
低酸素 → ミト破綻 → ROS/炎症 → さらに低酸素

この2つが結合すると、

炎症は弱いが、消えない。

これが

  • 慢性疲労

  • 脳の霧

  • 自律神経不安定

  • 睡眠の断片化

を説明する“構造的理由”です。


⑤ Long COVIDは「時間」ではなく「状態」

武本先生がいつも強調されている通り、

Aging is not time. It is a maintained state.

Long COVIDも同じです。

感染は終わっても

炎症が“維持される状態”に入ってしまう


⑥ なぜ人によって違うのか?

個人差を決める因子は:

  • 免疫応答の強さ

  • 血管内皮の脆弱性

  • ミトコンドリアの予備力

  • 自律神経の回復力

  • 既存の慢性炎症(inflammaging)

つまり、

🔬 回復力(resilience)の差

です。


⑦ まとめ(本質)

Long COVIDが長く続く理由は:

  1. 微小循環の障害

  2. ミトコンドリア疲労

  3. 炎症の固定化ループ

  4. 回復力の低下

これらが組み合わさるからです。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。