“医療費や介護費をどう削るか”ではなく、 “どの時点で介入するか”という視点
日本の医療・介護費が増大している背景には、高齢化だけでなく、
介入のタイミングが遅れているという構造的な問題があります。
老化や慢性疾患は、突然重症化するわけではありません。
長期間にわたる機能低下の蓄積の末、
ある時点で「可逆性」が失われ、不可逆的な段階に入ります。
この可逆性が失われた後に介入すると、
選択肢は限られ、医療費・介護費は急激に上昇します。
移植医療や高度医療は不可欠ですが、
制度としては“最もコストの高いフェーズ”です。
一方、可逆性が残る段階では、
機能低下の進行を遅らせる選択肢が多く、
医療費だけでなく将来の介護費抑制にも直結します。
重要なのは、
移植医療や高度医療を否定することではありません。
そこに至る人数を、私たちの取り組みとして減らせるかという点です。
全世代型社会保障を実質化するためには、
高齢者対策としてではなく、
将来の高額医療・介護を回避する社会投資として、
介入時期を前倒しする発想が必要です。
「どこまで治すか」ではなく、
「いつ介入するか」
この視点転換が、
医療費・介護費の抑制と健康寿命延伸を
同時に実現する鍵になると考えています。

