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院長日記

HTLV-1は「世代を超えて受け継がれる老化発がんモデル」

武本 重毅

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HTLV-1の大きな特徴は、母乳を介した母子感染により、ウイルスが世代を超えて受け継がれることです。

しかしATLは感染直後に発症するわけではありません。

多くの場合、

40〜60年以上の潜伏期間

を経て、高齢期に発症します。

これは非常に重要な意味を持ちます。

つまりATLは、単なる「ウイルス感染による白血病」ではなく、

  • 加齢
  • 慢性炎症
  • 免疫老化
  • ミトコンドリア疲弊
  • エピゲノム固定化

が数十年かけて蓄積した結果として出現する可能性があるのです。

進化生物学では、

「生殖年齢以降に起こる異常は、自然選択で除去されにくい」

と考えられています。

HTLV-1とATLは、まさにこの特徴を持っています。

つまり、

「感染 → 加齢 → 慢性炎症 → 状態固定 → 発がん」

という過程を、実際のヒトで観察できる稀有なモデルなのです。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。