アレルギー (本日の看護学校講義)
「血液・造血器」の講義がおわり、本日より「アレルギー」の講義をはじめた。
「血液・造血器」では、内容が難しく、まだ臨床経験のない若者たちに実際の臨床をイメージさせることもできず、少し落胆する毎日であった。
そこで、今回は、実際におこった給食での食物アレルギー事故のはなしから入り、若者たちの興味を惹き付けることにした。
それは2012年12月に東京都調布市の小学校でおこった。小学校5年生の女児が給食後に「アナフィラキシーショック」を呈し、死亡するという本当に痛ましい事故であった。その児童は乳児期より「アトピー性皮膚炎」と「食物アレルギー」があり、牛乳や卵の二次製品でも「即時型反応」があったため、完全除去をおこなっていた。1歳時には少量のヨーグルトでも「喘鳴」をきたし、2歳時からは「気管支喘息」を併発し、保育園ではチーズの誤食で呼吸困難を伴う「アナフィラキシー」を経験している。小学校入学後、喘息発作時には、学校でも自分で吸入器を持ちして吸入していた。また卵は摂取可能となったが、牛乳は完全除去が必要であり、「アナフィラキシー」発生時のために毎日「エピペン」を持って登校していた。事故当日の献立の中、じゃがいものチヂミには生地に粉チーズが入っているため、除去食用のチヂミが用意された。給食がおわる少し前に、チヂミが16切れ残っていたため、担任は声をかけて配って歩いた。その児童から「欲しいです」と声がかかり、担任は「大丈夫かと」尋ねた。その児童は保護者からもらっている献立表をみたが、食べてはいけないことになっていなかった。そして普通食のチヂミが提供されてしまった。その後気分不良を訴え、40分後には担任がおぶってトイレへ行き、意識レベル低下し、心肺停止した。(公衆衛生 Vol77 No.10 2013年10月)
アレルギー患者は増えている。その中で「アナフィラキシー」をおこさないようにするにはどうすればよいか、万が一おこした場合に周りいる人は、そして医療従事者はどのように対処すればよいかを学んでおいてほしい。