Director's blog
院長日記

老化とは時間ではない

武本 重毅

私たちは長い間、

「年を取ること=老化」

だと考えてきました。

しかし、本当に失われているのは時間ではありません。

失われているのは、

細胞が傷ついたあとに回復する力。

すなわち、

Recovery Capacity(回復力)

です。

ミトコンドリア機能の低下。

慢性炎症。

免疫老化。

エピゲノム変化。

これらが積み重なることで、細胞は本来持っていた柔軟性を失い、元の状態へ戻れなくなります。

それが老化の本質です。

成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)は、その過程を最も鮮明に映し出す病気のひとつでした。

HTLV-1感染だけでは、ATLは発症しません。

数十年という長い年月の中で、

免疫老化

慢性炎症

エピゲノム変化

ミトコンドリア機能低下

が積み重なり、

細胞の回復力と可塑性が失われたとき、

ATLは姿を現します。

ATL細胞は、老化プログラムを部分的に利用しながら、老化による増殖停止を回避します。

通常の老化細胞が

「死なないが、増えない細胞」

であるのに対し、

ATL細胞は

「死なず、さらに増える細胞」

です。

言い換えれば、

ATLとは、

老化を乗っ取った腫瘍

なのかもしれません。

そして30年間ATLを追い続けた先で、

私はひとつの結論にたどり着きました。

老化とは時間ではありません。

老化とは、

細胞が回復する力を失うこと

です。

だからこそ、

私たちが本当に目指すべき医療は、

単に病気を治療する医療ではありません。

細胞が本来持つ回復力を守り、

取り戻し、

そして高めていく医療です。

Aging is not time.

It is the loss of recovery capacity.

そして、

Recovery is the restoration of self-organization.

回復とは、

生命が本来持つ自己組織化能力を取り戻すこと。

私はその可能性を、

ATL研究から学びました。

そして今、

ミトコンドリア研究と老化研究を通して、

その先にある未来を探しています。

私たちは老化と戦うのではない。

私たちは、

回復力を取り戻す。

それがMITO RISINGの考える新しい医療です。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。