AGE 66|THE AGE OF RECOVERY DAY 1 — From Regeneration to Recovery 2026年9月1日
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今日、私は二つの「心不全医療」について考えていました。
一つは、最先端の再生医療。
失われた心筋を、再びつくろうとする医療です。
もう一つは、私が今朝向き合った91歳の患者さんでした。
慢性心不全だけではありません。
腎臓、血液、心拍、筋肉。
いくつもの臓器や機能が互いに影響しながら、身体全体として、以前の状態へ戻ることが少しずつ難しくなっている。
ご家族には、
「今後もし大きく体調を崩された場合、以前と同じ状態まで回復することが難しくなってきています」
と説明しました。
この言葉を書きながら、私は改めて思いました。
これはまさに、私が最近考えている
Recovery Capacity
― 回復力 ―
の問題なのではないか、と。
RegenerationとRecoveryは、同じではない。
Regenerationは、失われた細胞や組織を再生する。
しかし人間が「回復する」ということは、それだけではありません。
心臓が働く。
腎臓が水分や電解質を調節する。
血液が酸素を運ぶ。
筋肉が身体を支える。
脳が周囲を認識する。
食べる。眠る。動く。
そして、それらがもう一度つながって、
一人の人間として生活できる状態へ戻っていく。
それがRecoveryです。
だから私は、
再生できることと、回復できることは同義ではない
と考えています。
そして、その間には大きな医療の空白がある。
最先端には、
失われた組織を再生する医療がある。
臨床の最終段階には、
残された機能を守り、苦痛を和らげ、その人らしい人生を支える医療がある。
では、その間はどうでしょう。
病気になる前。
病気になり始めたとき。
治療によって一度回復したあと。
複数の臓器の予備力が少しずつ低下していくとき。
ここに、
「回復する力そのもの」を支える医療
が必要なのではないか。
Recovery Medicine
私が考えるRecovery Medicineは、再生医療に代わるものではありません。
標準医療に代わるものでもありません。
まして、老化をなくす医療でもありません。
むしろ、
標準医療、予防医療、再生医療、リハビリテーション、そして人生の最終段階を支える医療の間を、「回復」という視点でつなぎ直す。
そんな医療です。
病気になる前から、回復する力を守る。
病気になったら、治療とともに回復する力を支える。
治療後には、もう一度生活へ戻る力を育てる。
そして回復すること自体が難しくなったときには、
「どこまで治療できるか」だけではなく、
「何をすることが、その人にとって一番よいのか」
を考える。
それもRecovery Medicineの大切な役割だと思います。
How much can we recover?
この問いの意味も、今日少し変わりました。
どこまで細胞を再生できるのか。
どこまで臓器を修復できるのか。
どこまで身体全体を立て直せるのか。
だけではない。
回復が難しくなったとき、
その人の人生を、どこまで支えられるのか。
そこまで含めて、
How much can we recover?
なのだと思います。
66歳になって最初の日。
私は、最先端の「再生」と、91歳の患者さんの「回復」の間に立っていました。
そこで見えたのは、どちらかを選ぶことではありませんでした。
From Regeneration to Recovery.
再生医療の先へ、という意味ではない。
再生という医学の力を、
一人の人間の回復へどうつなげるのか。
その問いです。
そして、それは私がこれから考えていきたい医学そのものなのかもしれません。
AGE 66
THE AGE OF RECOVERY
DAY 1 / 365
How much can we recover?

