10-10-10 人生に迷ったら、3つのスパンで決めなさい! (スージー・ウェルチ、小沢瑞穂 訳)
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前回のブログ(院長日記)に書きましたメンタリストDaiGoの「後悔しない超選択術」の中で、「未来を想像することで合理的な選択に導く方法」として紹介されていたのが、この本の内容です。
この「10-10-10」という方法は、本音で生きることの喜びを体験するために、自分の人生を自分でコントロールするために、広く用いられている「人生管理ツール」です。これは筆者である女性自身が窮地に陥ったときにひらめいたアイデアであり、このツールを用いて多くの女性が救われています
実際には、十分後にどうなるか、十ヶ月後にどうなるか、十年後にどうなるか、つまり、今すぐ出る結果、近い将来に出る結果、遠い将来に出る結果をじっくり考え抜くことで、「私がもっているすべての選択肢とその結果を理解した今、自分なりの人生を築くためにもっとも役に立つ決断はどれだろう?」と分析し、その答えがわかったときに解決策を手にするというものです。
では、何故このツールが有効なのでしょうか?
まず、ほとんどの人が同じように、本能的直感には強烈なひらめきを放つ瞬間があると考えています。しかし、一旦選んだら後戻りできないような重大な選択をする場合、この直感を智恵として信頼することはできません。
つぎに、人間の性質として、自分にとってプラスであれ、マイナスであれ、それが遠い未来のことであればあるほど軽視する傾向があります。これを心理学の専門用語では「双曲線割引」といい、「人は未来など存在しないかのように行動する、あるいは未来はバラ色だと思い込む」傾向があります。禁煙できないのも、この類です。誰もが、「食べて、飲んで、楽しくやろう、明日は死ぬかもしれないのだから」という考え方を、本能的な部分としてもっています。
これらに対して、このツールがきちんとはたらいてくれるのです。直感しか頼るものがないときには、じっくりと考えるチャンスをくれます。
そして、たまたまそうなったと思われるのですが、「期待効用理論」を利用しているのです。この理論は、1738年にダニエル・ベルヌーイというスイスの数学者が立てた仮説が、その2世紀後にプリンストン大学出身のジョン・フォン・ノイマンとオスカー・モルゲンシュタインという二人の著名な数学者によって受け継がれ、名づけられたものです。その内容は、「人は複合する選択肢の中で決断を迫られると、それぞれの状況の結果を評価して得られるものと失うものを調べる。次に、どの時間枠でも自分が得るものが最大になり、失うものが最小になる選択肢を選ぶ。要するに、人はどの決断からも、自分が最も価値を置いているもの、あるいは何らかのメリットを手に入れようとするのだ」というものです。
その結果として、自分が本当に信じているものは何か、自分はどんな生き方をしたいのかが明らかとなり、自分の心の奥底の価値観に基づいた選択をできるわけです。