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院長日記

ブラジル訪問し学んだ国を挙げての感染症対策(2013年の今ごろ)

武本 重毅

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当時のわたしは国立病院機構熊本医療センターの職員として、

国際医療協力に携わっており、

特にエイズの予防および対策に関する

発展途上国におけるレベルアップと

協力体制構築に尽力しておりました。

日本国に招いた研修員たちが

自国できちんと仕事をし活躍しているかどうかの

フォローアップをおこなう必要性を感じ、

 

わたしの研修コースに

最も多くの人員を派遣していた

ブラジルを訪問した次第でした。

 

ブラジル保健省を訪ね、

エイズ対策のトップである大臣と面談しました。

 

 

ブラジルでは、

初期感染者のひとりが大学教授だったこともあり、

また国民からの声に耳を傾けた結果、

アメリカの大手製薬会社と交渉して

エイズ治療薬を

格安で

ブラジル国内に普及させることに成功しました。

 

 

また隣国からの

エイズおよび関連感染症の

国境近くに住む人たちからの侵入を防ぐために、

近隣諸国の

結核予防のための検査を無償化し、

無料で治療薬を提供できるようにしたのでした。

 

 

ブラジルにおける

エイズとそのウイルス(HIV)感染症は、

すでに日常的な問題になっていました。

 

このため国民全体で感染者や患者の生活を守り自立させようという空気でした。

下の写真は

エイズ患者自身で経営し、

その利益で

他の患者の治療や生活をサポートするための会社です。

 

 

そして、

 

ブラジル訪問中にお会いした中で

最も魅力的だったのが下の写真の左から2番目の女性です。

 

 

彼女は、

 

感染した母親から生まれた子どもたち(HIV感染あり)を

自宅の施設に引き取り、

 

もちろん寄付を集めながらですが、

 

子どもたちの生活の面倒から学業まで、

 

ある子どもは治療を受けながら、

 

その成長をサポートすることに人生を捧げていました。

 

彼女と話したときには感動で涙が止まりませんでした。

 

 

ブラジルでは

 

「感染症で国が滅びてしまう」という危機感から、

政府と国民が一致団結して

 

その対策を推進していったのでした。

 

 

 

さて、

 

今回の新型コロナウイルス肺炎について、

日本政府は、

そしてわれわれは、

 

どのような対応を示すことができるでしょうか。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。