Director's blog
院長日記

イノベーション思考を身につける(前半)

武本 重毅

カテゴリー: 

一流の頭脳の磨き方
山崎裕二
岡田美紀子

これまで「見えていなかった」ものに目をこらす

従来と全く同じ事業を続けている限り、どこかで必ず行き詰まります。

技術やサービスが陳腐化し、

マーケットそのものがなくなってしまうことも

珍しくありません。

 

企業を維持し、

さらに成長させていくには、

「新しいこと」を考え続ける必要があるのです。

 

 

これまで誰の目にも見えていなかったものに光を当てる必要があります。

「テクノロジー・マネジメント」
「企業内アントレプレナーシップ」

そもそも企業には「リスクを避ける」という文化があります。

しかしながら
「市場を見通すのは難しい」

何しろ市場そのものが存在しないのですから。

 

新規事業における初期の財務予測のことを

「Scientific Wild-Ass Guess (SWAG)」
「科学的当てずっぽう」

と呼んでいるのもこのためです。

 

トライ&エラーの発想

「こういうものができた」

「こんなやり方やサービスはどうだろう」

というある程度の形が決まったら、

 

どんどん市場に投入して、

そのフィードバックを受けながら開発を続ける方が効率的であると考えられます。

 

 

新しいことを成功させる「新しい方法」を知る

そして、新しいことをするには「5年」の我慢が必要です。

新規事業は時間、

タイムラインについても、

既存事業とは全く異なる判断軸が必要となることを忘れてはなりません。

 

事業を立ち上げてから

実際に利益を生むまでのタイムラインを、

 

既存事業のそれと単純比較するのはまるで意味がありません。

 

 

新規事業が

1年で結果、利益を出すというのは

現実的ではありません。

 

通常でも3年程度、

日本の場合は5年ほどを覚悟しなければ、

本当の意味で企業内ベンチャーを育てることができないでしょう。

 

通常とは異なる指標を検討し設定することも、

新規事業を支えていくためには不可欠となります。

 

 

タイムラインと全く同じことがお金についても言えます。

ただし、

お金には

「予算」と

「利益」という

2つの側面があることを忘れてはいけません。

 

 

やはりここでも、

「新規事業に即した、妥当なタイムライン」を設定したら、

 

その期間に関してはしっかりとした予算が確保されるような仕組み、

あるいはリーダーシップが不可欠となります。

 

場合によっては、

株主たちを納得させる優れたプレゼン能力も必要になってくるでしょう。

 

 

大企業で新規事業をする際、

「手持ちの販売チャネルや人事などの既存のシステムを活用すれば、

1からスタートするよりはるかに有利だ」

という議論がなされることがあります。

 

実は、ここにも大きなトラップ(罠)があるのです。

 

既存製品と新規製品は

販売チャネルも、

政策や販売のプロセスも、

全く異なる場合がほとんどです。

 

だが、

既存の仕組みをそのまま利用して、

その結果、

「こんなに強い売り方があるの実績が伸びないとは、

見込みがないということだ」

と判断されてしまうことがあります。

 

このポイントを理解し、

新しい戦略(生かすべきものは生かし、ゼロから立ち上げるべき事はゼロから始める)

を打ち出さなければ、

悲惨な結果が待ち構えています。

 

 

利益についても

「新規事業に見合った目標設定」が必要となります。

 

従来と同じ手法で

新規事業の価値を図ろうとすれば、

 

当初は新規事業を始めるつもりだったのが、

いつの間にか「既存事業のバージョン違い」

くらいのところに落ち着いてしまうなどということもよくあります。

 

「金額的な目標達成率ではなく、

『どれだけ新しいものを生み出したか』を測る評価基準をつくり、

イノベーションチームに適応する」ことが大事です。

 

もっとも、

「どのようなタイムラインで、

どのような指標を用いて事業の進歩を検証していくのか」

には

専門的な判断が必要とされます。

 

検証システムの実際的な運用するには

そのための専門家を呼び寄せる、

あるいは

社員をスペシャリストとして養成しなくてはなりません。

 

そうした必要性を含めた

イノベーション事業の全体像を理解した上で

ビジネスの環境を整えていくことこそが、

高いレベルで活躍するビジネスエリートに求められている仕事ですし、

彼らはそうした意識で知識を蓄えています。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。