Director's blog
院長日記

いつまでも若く元気で活躍する皆様へのご提案

武本 重毅

カテゴリー: 

 

実は、私は研究者です。色々なことに興味をもって生活しています。

20年前にはアメリカにおりました。そのとき実験していたのが、 サイトカインというリンパ球を増やすタンパクが細胞内でまた別のタンパクを変化させていくというシグナル伝達と呼ばれる一連の流れでした。

しかしこの実験には非常にたくさんの細胞、血液を必要とします。日本に帰国して臨床に復帰し、研究をどの様に継続すればよいのか悩みました。

何故なら治療中の患者さんからそんなに大量の血液を採取するわけにはいきません。

そこで目をつけたのが、先ほどのサイトカインを細胞上でキャッチする受容体あるいはレセプターと呼ばれるタンパクです。

このタンパクは、その当時理由はわかりませんでしたが、その一部が細胞上から離れて血清中に存在しました。

そしてある種の疾患や病態では、その血中濃度が上昇します。

しかもそれを検出するために必要な血清量は、わずか50マイクロリットル、すなわち1ccの20分の1です。

肝機能や腎機能を採血検査して余った血清で十分に検査できます。

そこで患者さんからの同意を得て、 その余った血清(これは通常検査室で1週間保存された後に捨てられていますが)、これを使って地道に実験を続けてきました。

その結果、このタンパクの血中濃度の上昇を利用してある疾患の発症や悪化を予測できることを発見し、15年後の平成27年に特許を2件いただくことができました。

 

 

しかし面白いのはそれからでした。

そのタンパクの上昇が病気の発症だけでなく、細胞が血液中や肺などの臓器に移動する、 たとえば癌の転移のようなときにも上昇していることを発見したのです。

それまでそのタンパクが細胞表面から遊離する理由については誰もわかっていませんでしたので、 外国の論文を読みあさっていましたところ、実はそのタンパクを切断する酵素と乳癌などの肺転移に関わる酵素が同じであることを知りました。

つまり私が測定していたタンパクは、細胞が色々な臓器へと移動する際に、細胞間の結合を切断する酵素により一緒に細胞表面から切り離されていたのでした。 このように免疫細胞や癌細胞は、その細胞がもつ酵素を使って、血管壁を傷つけ、細胞間の結合を切り開きながら、周りや他の臓器へと転移していくのです。

 

 

日本人の死亡原因となる疾患に共通のメカニズム

クリニックを開院するころには、このアイディアを、もっと多くの疾患や病態に応用できると考えるようになりました。

癌に続いて日本人の死因上位を占める脳卒中や心筋梗塞などは動脈硬化がその大きな原因です。

高血圧、高脂血症、喫煙、飲酒、そして糖尿病などにより動脈硬化が進みます。

そして実は、この動脈硬化も私が研究してきた炎症や血管障害がその原因なのです。

高血圧、高脂血症、喫煙、飲酒、高血糖で血管が傷つき、そこに免疫細胞が集まり、そして先ほどからお話しているタンパクを切断する酵素がさらに細胞間の結合を切断しているのです。

癌でも同じことが起こっています。

口腔内の癌(舌癌など)や咽頭癌、そして食道癌では、喫煙や飲酒というその辺りの組織を痛めるようなことが原因です。 またある種の感染症、たとえば胃のヘリコバクター・ピロリ菌や肝臓の肝炎ウイルスは、それぞれの組織で炎症を起こし組織を障害することで癌化を進めます。

このように癌を発症する背景も脳卒中や心筋梗塞の原因となる動脈硬化や狭窄が起こる過程と同じであり、このことは私が研究してきた免疫細胞の活性化、 すなわち炎症とその細胞による血管障害や組織障害が、日本人の死亡原因となる疾患に共通のメカニズムであるということになります。

 

健康でいること、それは病気にならないこと、あるいは病気になりそうな段階で早期に対処することで、容易に現実のものとなります。

そして、それは血管を健康な状態に保つことで可能となり、また血中に遊離したタンパクを測定することで病態あるいは疾患発症や悪化を予測し、早期に対応することができるわけです。

 

 

クリニックの中でコンパクトにできる人間ドックの新しいスタイル

このコンセプトをもとに始めたのが聚楽内科クリニックの医療サービスです。そして本日、特にご紹介したいのが、このパーソナルメディカル倶楽部です。

保険診療にとらわれず、しかしクリニックの中でコンパクトにできる人間ドックの新しいスタイルとして提案させていただきます。

一般の法定検診ではわからないような身体の中で起こっている炎症、血管障害、そして癌化までを、侵襲の少ない血液検査やエコー検査などで明らかにしてまいります。

さらには、プラチナマンション聚楽という施設を活用し、これまで単に郵送でおくられてきていた人間ドックの結果通知という形ではなく、 聚楽内のお部屋に宿泊していただき、そのゴージャスな環境の中で医師・看護師、栄養管理士、運動指導療法士が、 それぞれの立場から皆様の健康状態をご説明し今後のアドバイスやプランをご提供させていただきます。

実際に身体に合ったトレーニング方法の指導を受けていただき、その日の夕食はご夫婦で健康状態に適したレストランメニューを試食していただきます。

このように聚楽内科クリニックでは会員様だけの特別プログラムも用意しております。

 

また最後になりますが、城東ライオンズクラブ活動の一つとしまして、2009年から始めておりますタイのコンケンにあります高齢者対策センターとの共同アクトのつながりを、 コンケンライオンズクラブとの交流の一環として発展させていただきたいと考えております。

 

私は今の仕事を現在の小さなクリニックで終わらせるつもりはありません。

これから自らの医療グループとして大きく育て、特許を獲得できるような研究体制をつくり、 さらには阿蘇という広大な土地に宿泊型の医療と食とエクササイズを組み合わせた健康テーマパークを建設して皆様の健康的なライフスタイルのお役に立ちたいという夢をもっています。

 

まずは、聚楽内科クリニックのサービスを体験してみてください。

 

 

 

※2017年7月12日 熊本城東ライオンズクラブでの卓話より

 

 

 

 

 

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。