2021-2022年冬季の家庭ならびに会社・学校におけるウイルス感染予防について
2021年をピークに、われわれはCOVID-19の大きな流行を経験しました。懸念される変異株の出現に代表されるように、日本国内の感染状況は変化し続けています。このような中、予防接種が始まりましたが、その重要性は高まるばかりです。完全に感染を防ぐことはできませんが、重症化しないで済むようになります。すでに3回目の接種も始まることになりました。
ワクチン接種は予防の観点から是非受けていただきたいと考えています。
しかしながら、受ける受けないは個人の自由です。実際、様々な副反応が報告されていますし、そのリスクよりも効果の方が高いからと言っても健康な方々がワクチン接種後に危険な状態になることは受け入れがたい事実です。したがいまして、差別につながるようなことがないように学校などでワクチン接種したかどうかを尋ねることがあってはいけませんし、家庭の中で意見が分かれることがあってもよいと思います。
昨シーズン、インフルエンザウイルス感染が抑えられ、感染者を診ることがなかったのには驚きました。しかし、逆に、このことによりインフルエンザウイルスに対するわれわれの免疫は低下してしまったと考えられています。その例として今年の小児のRSウイルス感染者急増があります。同じようにこれから寒くなる今季にはインフルエンザウイルス感染爆発がおこるのではないかと言われています。したがいまして、是非インフルエンザ予防接種を受けていただきたいと思います。
日本経済新聞によりますと、二酸化塩素を発生させるグッズを部屋に置いたり首に掛けたりするだけで「空間を除菌できる」とうたった宣伝には根拠がなく、景品表示法違反(優良誤認など)に当たるとして、消費者庁は27日、販売する17社に再発防止などを求める措置命令(行政処分)を出したそうです。対象は据え置き型が大幸薬品の「クレベリンゲル」など10商品で、携帯型が中京医薬品(愛知県半田市)の「クイックシールドエアーマスク」など15商品。17社は消費者庁に根拠とする資料を提出したが、二酸化塩素の殺菌効果を密閉空間で実験したデータなどでした。同庁は、人の出入りや空気の流れがある生活空間で使うには、十分な裏付けとは言えないと判断しました。
そこで忘れてはならないのが、うがいの励行です。
感染経路は、飛沫感染が主体と考えられ、換気の悪い環境では、咳やくしゃみなどがなくても感染すると考えられています。また、ウイルスを含む飛沫などによって汚染された環境表面からの接触感染もあると考えられます。したがいまして、喉や口腔内からのウイルスの排除が重要です。できればイソジンガーグルなど抗ウイルス作用の強いうがい液を使用してください。アルコールアレルギーの方にも使用できます。ただしヨウ素に過敏性がある方には注意が必要です。
このウイルスは感染してから症状が出現するまでの潜伏期間が1~14日間であり、ウイルスを受け取って(曝露)から5日程度で発症することが多いようです。注意が必要なのは、発症前から感染性があり、発症から間もない時期の感染性が高いことです。このため知らず知らずのうちに感染が拡大します。発症可能期間は発症2日前から発症後7~10日間程度と考えられています。
したがいまして、新型コロナウイルス感染者で既に発熱しているのであれば、周りの人々や環境にはウイルスが拡散している状況です。家族内感染を防ぐことが容易ではありません。家族内で陽性者が出れば、皆さまが感染していると考えられます。学校でも発熱者を保健室でケアしているのならば保健室内感染を防ぐことが容易ではありません。別に隔離する部屋を設けるべきでしょう。
新型コロナウイルス感染の症状は、頻度の高い順に、咳、発熱、筋肉痛、頭痛、息切れ、咽頭痛、下痢、嘔気・嘔吐、腹痛、嗅覚または味覚異常などです。これらの症状があり、新型コロナウイルス感染の機会が疑われれば、会社や学校を早退させてよいのではないかと思われます。
抗原検査は感度が低いので、陰性という結果であっても、新型コロナウイルス感染を否定するものではありません。つまり感染者である可能性は残ります。
また検体採取の際に飛沫を浴びる、あるいは環境汚染の危険性があります。したがいまして、寒い季節にはなりますが、建物の外で、人が行き来しないような場所を選んで、鼻咽頭ぬぐい液あるいは鼻腔ぬぐい液を採取する必要があります。もちろん検査する方はフェイスシールド、アイソレーションガウンなど完全防備にならなければなりません。
わたしの仕事場、聚楽内科クリニックは、高級マンションの建物の中にあるため、感染を疑う場合は自家用車内に待機していただき検査など診療する必要があります。
これからの季節、インフルエンザウイルス感染との区別が難しくなります。聚楽内科クリニックでは、インフルエンザウイルスと新型コロナウイルスそれぞれの感染の有無を同時に10分で検査できる抗原キットを準備しました。
気温がさがり、人流が増加した今、また新型コロナウイルスとの闘いが始まろうとしています。