食事に気をつけていると思っていても中性脂肪の値が高い人は
生活習慣病の治療で通院している患者さんの中に
「食事内容に気をつけているのに、痩せない」とつぶやく人が少なくありません。
そういう患者さんの血液検査で調べてみると血糖が高い場合はもちろんですが、
(血糖が高くなくても)中性脂肪の値が高く
腹部エコー検査では脂肪肝を認める場合がほとんどです。
中性脂肪は
エネルギーが不足した際などに分解されてエネルギー源として利用され
余分なエネルギー源としては肝臓(過剰な場合は脂肪肝)や脂肪細胞に蓄えられています。
血液中の中性脂肪が異常高値を示す場合、自覚症状はほとんどありません。
しかし、放置すると動脈硬化が徐々に進み
その結果として狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などを引きおこします。
遺伝的な要因が関係することもありますが
よくみられるのは運動不足、過食、アルコール過剰摂取など生活習慣に起因するものです。
過剰なエネルギー摂取はインスリン作用不足をもたらし
糖代謝異常(2型糖尿病)を発症させます。
中性脂肪値が高い場合には、飽和脂肪酸、ショ糖、果糖などの摂り過ぎに注意が必要です。
飽和脂肪酸は、人間の体内では糖質から合成されます。
そして食事由来としては
牛の脂肪や豚の脂肪のラード、乳脂肪のバターなどの動物性の脂質に豊富に含まれています。
特に牛肉中では霜降り肉などの白い部分が飽和脂肪酸に当たります。
また、マーガリンの原料は植物油ですが
その植物油に含まれる不飽和脂肪酸に水素を添付して飽和脂肪酸に変えてつくられています。
その他にも、飽和脂肪酸を多く含む食材として牛乳、魚介類などがあります。
そして、野菜ジュースにも注意が必要です。
本来であれば
野菜など食物繊維の多い食品を摂取することで
食後の急激な糖の吸収(血糖上昇)を抑え
体内での飽和脂肪酸の合成を抑えることが期待できます。
しかしながら野菜ジュースでは、その口当たりをよくするために
食物繊維が取り除かれています。
さらに野菜の種類が問題です。
野菜ジュースに含まれている野菜の約半分はニンジンといわれています。
野菜ジュースの甘みは、そのニンジンに含まれるショ糖によるものなのです。
このように、「食事内容に気をつけている」と思っていても
気づかないうちに、過剰なカロリーを摂取しているのかもしれません。