Director's blog
院長日記

キャンプの季節に要注意の感染症

武本 重毅

カテゴリー: 

熊本県は先月初め

天草市の無職女性(85)がマダニの媒介する

「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」に感染したと発表しました。

県内での感染確認は今年1例目です。

女性は4月27日に発熱や食欲不振といった症状が出て医療機関を受診し

5月1日県の検査機関がSFTSを確認しました。

マダニにかまれたと分かる明確な痕はなかったそうです。

 

そして5月30日には

県内で今年4例目となるSFTSの患者が発生し

6月2日に亡くなられました。

SFTS患者の死亡が確認されたのは今年1例目です。

2013年(平成25年)3月に届出対象疾患となって以降

熊本県での患者確認は34例目

患者の死亡確認は7例目です。

(昨年の感染者は過去最多の9人に上り、うち1人が死亡)

 

 

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について

2012年(平成24年)の秋

それまで我が国では知られていなかった新しいウイルス感染症(SFTS)が

山口県で報告されました。

発病すると

高熱

嘔吐

下痢

などの症状が現れ

血小板や白血球が減少し

重症化すると死亡することがあります。

 

実は国内では

2005年から2014年9月4日まで

96名(死亡30名)のSFTS患者が報告されています。

患者は15の県(兵庫、和歌山、島根、岡山、広島、山口、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、大分、熊本、宮崎、鹿児島)から報告されており

今のところ発生地域は西日本です。

 

SFTSは2009年頃から中国での流行が報告され

2011年にSFTSの病原体がブニヤウイルス科に属するウイルスであることが明らかにされました。

SFTSウイルスは

マダニと呼ばれる比較的大型のダニによって媒介されると考えられています。

 

我が国にはマダニが媒介する感染症として

SFTSのほか

日本紅斑熱

ライム病

ロシア春夏脳炎などがあり

日本紅斑熱では毎年100名を超える患者が発生しています。

これらの感染症を防ぐためには

マダニに咬まれないようにする必要があります。

特に

マダニが活発に活動する春から秋にかけて

山林や草地へ立ち入る際には

できるだけ皮膚の露出を避け

長袖・長ズボン

絞り口付き長靴

等を着用するようにします。

レインウェアのようななめらかな生地にはマダニがつきにくく

白っぽい服装のほうがとりついたマダニを発見しやすくなります。

帰宅後は

必ず入浴し

マダニが体表についていないかをよく点検します。

もしマダニがついていた場合は

医療機関(皮膚科など)で

取ってもらうと良いでしょう。

また

ハイキング等の野外活動や

山林や草地に立ち入って

1~2週間してから

体調が悪い時や

発熱などの症状が出た場合は

念のため医療機関を受診しましょう。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。