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院長日記

新型コロナ感染ではないのに息苦しいと感じたら

武本 重毅

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これまで別々の疾患とされていた

気管支喘息慢性閉塞性肺疾患(COPD)ですが

端的に言えば「息がしにくい」という共通点があり

それぞれの疾患に類似性があることから

最近では

気管支喘息-COPDオーバーラップ症候群という概念が提唱され

認められるようになりました。

 

気管支喘息

小児喘息患者でみられるように

発作が起これば

空気の流れる気道が狭くなる病気です。

 

そしてCOPD

息切れと、長く続く咳と痰を特徴とする病気です。

ほとんどの場合タバコが原因で

その害が長年に蓄積して起こる病気なので

中年以降に症状が出てきます。

 

これらが合わさった

気管支喘息-COPDオーバーラップ症候群ですが

その頻度は相当に高く

50歳以上の喘息患者の少なくとも25%

COPD患者の約25%はこの病態であるものと認識されています。

 

その主たる病因は

合併する両疾患の病因の組み合わせたものです。

例えば

小児喘息だったようなアトピー体質の患者さんが長期にわたり喫煙を行えば

発症するリスクが高くなります。

さらに喘息で急性増悪を反復するケースでは

COPDのように呼吸機能障害が進展します。

そして、この呼吸機能の障害は

気管支喘息あるいはCOPD単独の場合と比較して有意に高いものとなります。

これらのことから

できるだけ早期に

この病態を診断し

適切な管理を開始することが重要です。

 

私たちのクリニックでは

その気管支喘息COPDの両方に効果のある

吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激薬の吸入用製剤

そして

これらに長時間作用性抗コリン薬を加えた吸入用製剤の

処方を始めました。

これまで治療に苦労しておられた患者さんから

「楽になった」と好評で

私たちのクリニックに通っていただけるようになりました。

 

先日の院長日記に書いたように

新型コロナウイルス感染により

喫煙による重症化リスクも

広く知られるようになりました。

さらには

その感染後遺症でも呼吸機能を障害する場合があります。

 

そして気管支喘息の治療を続けながら

喫煙を続ける患者さんが少なくありません。

 

そのような皆さまは

今回の記事を読んでいただいて

少しでも気にかかることがあれば

是非ご相談お待ちしております。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。