ドラッカー著「断絶の時代」から④:多元社会の理論・組織の役割とは
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われわれは大小さまざまな組織に属し、育てられてきました。
しかし所属している(所属していた)組織について
その意味をよく考えてみることはなかったのかもしれません。
これからの激動の5年、10年を迎えるにあたり
それぞれが身を置いている組織について考えてみましょう。
組織はそれ自身のために存在するのではありません。
それは手段です。
それぞれが社会的な課題を担う、社会のための機関です。
したがって、われわれが組織の理論を必要とする第一の側面は
組織の機能のうち目的に関わる側面です。
自らの目的をいかに定めるか。
成果を上げるためにいかにエネルギーを動員するか。
成果をいかに測定するか。
まず、なすべきことを決めなければ成果は上がりません。
言い換えると
目的がなければマネジメントはできません。
自らの目的は、経済的満足や貢献によって定めなければなりません。
しかし人によってニーズについての判断が違います。
優先順位が違います。
その上、既に行っていることをよりよく行うことを重視する考え方と
違うことを行うことを重視する考えがあります。
目的に関する最も困難で最も重要な決定は
何をなすべきかについてではありません。
それは第一に
もはや価値なしとして何を捨てるかという廃棄についての決定であり
第二に
何を優先するかという集中についての決定です。
何を捨てるかという廃棄の決定ほど
重要でありながらなおざりにされているものはありません。
昨日を捨てるということは
資源を浪費するようなことは直ちにやめる能力が必要だということです。
組織たるものは、何を目的とするにせよ
昨日の仕事から逃れ
自らのエネルギーと資源を
より生産的な新しい仕事へと動員できなければなりません。
機会をとらえようとするのであれば
非生産的なもの、陳腐化したものを捨てなければなりません。
意識して非産生的なものや陳腐化したものを捨てている組織が
新しい機会に不足することはありません。
アイデアはいくらでもあります。
組織にとっては、独創性の欠如は問題となりません。
組織にとっての問題は
すでに行っていることの続行を迫る慣性にあります。
常に組織は
昨日の仕事に追われ
そのあげく不妊となる危険を抱えています。
昨日に愛着を持ち
失敗すれば努力を倍加します。
目的との関わりにおいて、同じように重要なことが
集中すべきことについての優先順位の決定です。
大事な事は
何を行うべきかではなく何を最初に行うべきかです。
組織はわれわれ人間にとっての新しい環境となります。
したがってそれは新しい資質を求めます。
同時に新しい機会を与えてくれます。
行動の変化よりもまず理解の変化を迫ります。
成果をあげるには、
適切なことを適切に行うための意思決定の能力が必要となります。
今日組織に働く人たちは何も教えてもらえません。
自ら意思決定を行わなくてはなりません。
さもなければ成果をあげることができません。
何事も成し遂げられず、いかなる成功も収められません。
知識組織ではあらゆる知識労働者がエグゼクティブなのです。