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院長日記

老化は疾病-「老いなき世界(LIFE SPAN)」その5:その他の長寿遺伝子

武本 重毅

長寿遺伝子サーチュインだけではありません。

同様の結果をもたらし、研究も非常に進んでいる遺伝子群があと2組あります。

どちらについても

より長く健康に生きるために人の手で調節することが可能だと実証されています。

1つ目はラパマイシン標的タンパク質を作る遺伝子群です。
DNAの修復や、老化細胞によって引き起こされた炎症の軽減、そしておそらく最も重要な機能とみられるのが古いタンパク質の分解です。

もう一つの重要な長寿遺伝子は、AMP活性化プロテインキナーゼと言う酵素を作る遺伝子です。

このような防御システムはすべて

生体にストレスがかかると始動するという共通点を持ちます。

言わずもがなですが、大きすぎるストレスは克服できません。

ここが重要なポイントです。

細胞損傷させることなく長寿遺伝子を働かせるストレス因子はいくつもあります。

例えば

ある種の運動をする

ときおり絶食する

低タンパク質の食事をする

低温や高温に体をさらす

などです。

これを「ホルミシス」と呼びます。

ホルミシスとは

毒が毒にならない程度の量で刺激効果を現すことを指します。

一般に、ホルミシスは生物にプラスの作用を及ぼします。

永続的なダメージを引き起こさずに誘発できた場合はなおさらです。

ホルミシスが起こる時

すべては良好な状態になります。

これが長寿への第一歩です。

たとえ遺伝子暗号が全て解読できたとしても

私たちには決して見つけられないものが1つあります。

それが

老化遺伝子です。

この状況はこれからも変わらないでしょう。

何故か。

それは

私たちの遺伝子が老化を引き起こすために進化を遂げたのではないからです。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。