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院長日記

NMN文献その3「加齢において免疫細胞に発現するCD38がNADおよびNMNレベルを低下させる」

武本 重毅

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今回ご紹介するのは

2020年、一流の医科学雑誌であるNature Metabolismに掲載された論文です。

CD38 ecto-enzyme in immune cells is induced during aging and regulates NAD+ and NMN levels.

Chini CCS, Peclat TR, Warner GM, Kashyap S, Espindola-Netto JM, de Oliveira GC, Gomez LS, Hogan KA, Tarragó MG, Puranik AS, Agorrody G, Thompson KL, Dang K, Clarke S, Childs BG, Kanamori KS, Witte MA, Vidal P, Kirkland AL, De Cecco M, Chellappa K, McReynolds MR, Jankowski C, Tchkonia T, Kirkland JL, Sedivy JM, van Deursen JM, Baker DJ, van Schooten W, Rabinowitz JD, Baur JA, Chini EN.Nat Metab. 2020 Nov;2(11):1284-1304. doi: 10.1038/s42255-020-00298-z. Epub 2020 Nov 16.PMID: 33199925 

 

これまで書いてきましたように

老化というプロセスにおいて

加齢にともなってNADレベルが低下し

それが代謝異常や機能障害を引きおこしています。

 

そのNADレベルの低下が

CD38という分子と関係していることはわかっていました。

 

しかしながら

なぜ加齢にともないCD38分子の発現がおこるのか

どのようにしてCD38分子NADレベルを変化させるのか

わかっていませんでした。

 

今回ご紹介する研究では

 

加齢にともない

白色脂肪組織肝臓において

CD38分子が増加するのは

そのCD38分子を発現している免疫細胞

集まり蓄積するからだということ

 

そして

炎症

CD38分子を増加させ

NADレベルを低下させること

 

さらに

老化細胞

そこから分泌されるシグナルが

白色脂肪組織

CD38発現細胞を集めるということ

 

そして最後に

CD38分子活性をブロックすれば

NMN

NADレベルを増加させることを

証明しました。

 

すなわち

老化というプロセスは

加齢にともなう炎症

免疫細胞CD38分子を発現させ

そのCD38分子のはたらきにより

NMNNADのレベルを低下させることなのです。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。