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院長日記

NMN文献その5「老化細胞が存在するとCD38発現マクロファージが活性化され組織のNADを分解する」

武本 重毅

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今回ご紹介する論文は

このNMN文献紹介の3回目で紹介した

「加齢において免疫細胞に発現するCD38がNADおよびNMNレベルを低下させる」

と同じ雑誌「Nature Metabolism」の同じ号に掲載された

こちらも非常に有名な論文です。

Senescent cells promote tissue NAD+ decline during ageing via the activation of CD38+ macrophages.

Covarrubias AJ, Kale A, Perrone R, Lopez-Dominguez JA, Pisco AO, Kasler HG, Schmidt MS, Heckenbach I, Kwok R, Wiley CD, Wong HS, Gibbs E, Iyer SS, Basisty N, Wu Q, Kim IJ, Silva E, Vitangcol K, Shin KO, Lee YM, Riley R, Ben-Sahra I, Ott M, Schilling B, Scheibye-Knudsen M, Ishihara K, Quake SR, Newman J, Brenner C, Campisi J, Verdin E.Nat Metab. 2020 Nov;2(11):1265-1283. doi: 10.1038/s42255-020-00305-3. Epub 2020 Nov 16.PMID: 33199924

 

加齢にともない

多くの組織で

NADレベルの低下

進行します。

 

NADの産生は

トリプトファンから合成されるde novo経路と

NAD前駆体であるビタミンやNMNから合成されるサルベージ経路があります。

 

CD38NADを分解する酵素です。

CD38免疫細胞に発現しており

炎症時にその発現が増加します。

 

最近、加齢にともない

内臓の白色脂肪組織

CD38の発現が増加していることが示されました。

 

今回の研究では

 

炎症をおこすM1-マクロファージ

加齢炎症の急性反応において

内臓の白色脂肪組織肝臓

集まっており

 

これらのM1-マクロファージ

NAD分解酵素である

CD38を高発現しており

 

そのCD38依存性に

NAD分解活性を示し

 

そのために

組織における

NADレベルが低下していたのでした。

 

さらに

加齢において

老化細胞

内臓の白色脂肪組織肝臓に集まり

その

老化細胞から分泌される炎症性サイトカインにより

マクロファージの増殖

CD38発現

引きおこされるのでした。

 

このように

組織マクロファージ

細胞の老化

組織におけるNADレベルの低下との

関係がわかってきました。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。