NMN文献その5「老化細胞が存在するとCD38発現マクロファージが活性化され組織のNADを分解する」
今回ご紹介する論文は
このNMN文献紹介の3回目で紹介した
「加齢において免疫細胞に発現するCD38がNADおよびNMNレベルを低下させる」
と同じ雑誌「Nature Metabolism」の同じ号に掲載された
こちらも非常に有名な論文です。
Senescent cells promote tissue NAD+ decline during ageing via the activation of CD38+ macrophages.
加齢にともない
多くの組織で
NADレベルの低下が
進行します。
NADの産生は
トリプトファンから合成されるde novo経路と
NAD前駆体であるビタミンやNMNから合成されるサルベージ経路があります。
CD38はNADを分解する酵素です。
CD38は免疫細胞に発現しており
炎症時にその発現が増加します。
最近、加齢にともない
内臓の白色脂肪組織で
CD38の発現が増加していることが示されました。
今回の研究では
炎症をおこすM1-マクロファージが
加齢や炎症の急性反応において
内臓の白色脂肪組織や肝臓に
集まっており
これらのM1-マクロファージが
NAD分解酵素である
CD38を高発現しており
そのCD38依存性に
NAD分解活性を示し
そのために
組織における
NADレベルが低下していたのでした。
さらに
加齢において
老化細胞が
内臓の白色脂肪組織や肝臓に集まり
その
老化細胞から分泌される炎症性サイトカインにより
マクロファージの増殖や
CD38発現が
引きおこされるのでした。
このように
組織マクロファージと
細胞の老化と
組織におけるNADレベルの低下との
関係がわかってきました。