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院長日記

NMN文献その6「CD38発現細胞と健康ならびに疾患」

武本 重毅

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これまで

NMN関連の論文を読みながら

CD38という

NAD分解酵素の存在が

NMN治療の効果を

左右するのではないかと

考えるようになりました。

CD38 and CD157: a long journey from activation markers to multifunctional molecules.

Quarona V, Zaccarello G, Chillemi A, Brunetti E, Singh VK, Ferrero E, Funaro A, Horenstein AL, Malavasi F.Cytometry B Clin Cytom. 2013 Jul-Aug;84(4):207-17. doi: 10.1002/cyto.b.21092. Epub 2013 Apr 10.PMID: 23576305

そこで

今回ご紹介するのは

CD38およびその関連分子であるCD157について

正常細胞での発現と

疾患との関連について

まとめた論文です。

 

CD38

T細胞

B細胞

単球

マクロファージ

樹状細胞

NK細胞

赤血球

血小板

形質細胞

骨髄前駆細胞

皮質胸腺細胞

胚中心B細胞など

血液細胞・免疫細胞に発現しています。

 

CD157

好中球

好酸球

好塩基球

マクロファージ

肥満細胞

濾胞性樹状細胞

骨髄前駆細胞

ストローマ細胞

骨膜

血管内皮細胞

皮膚線維芽細胞

などに発現しています。

 

CD38

NAD分解酵素であり

細胞内NADレベルを調節しています。

そしてサーチュインの活性を調節しています。

 

CD157

細胞外NADを切断します。

 

CD38あるいはCD157により

切断された

NAD分解産物

免疫修飾因子としてはたらくようです。

 

また可溶性CD38も発見されています。

 

疾患との関係ですが

 

まず慢性リンパ性白血病では

白血病細胞での

CD38発現上昇

疾患のステージ進行と関連しているようです。

CD38分子

白血病細胞の成長と生存シグナルを与える

分子ネットワークに関与しています。

次に多発性骨髄腫ですが

抗体産生細胞である形質細胞が

腫瘍化したものです。

CD38

骨髄腫細胞はもちろん

正常の形質細胞の段階から

高発現しています。

 

このように

健康ならびに疾患において

細胞の生存や分化に必要な微小環境をつくり出し

そして細胞の寿命に関わっていると

考えられるのでした。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。